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脊椎などの節目の形成に重要な細胞間の同期リズムを司る仕組みの一端を解明-京大ほか

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2020年01月10日 AM11:30

正常な体節形成のためにHes7発現周期が制御される分子メカニズムを解析

京都大学は1月9日、マウスの体節が形成される際にみられる細胞間で同期した遺伝子発現量の振動を生じさせるためには、細胞間シグナル伝達時間の適切な遅れが重要な役割を果たすことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大の影山龍一郎 ウイルス・再生医科学研究所教授(高等研究院 物質-細胞統合システム拠点=(アイセムス)連携主任研究者)、吉岡久美子 同教務補佐員、松宮舞奈 生命科学研究科博士課程学生(現・欧州分子生物学研究所研究員)、磯村彰宏 iCeMS特定助教らの研究グループが、、東京大学と共同で行ったもの。研究成果は、「Nature」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

脊椎動物では、受精卵から体が形づくられる発生の過程で、背骨・肋骨などの「節目」構造の元となる、体節と呼ばれる組織が周期的に形成される。この体節形成の周期を制御するメカニズムは「分節時計」と呼ばれ、Hes7遺伝子の発現量がリズミカルに振動することがその中心的な役割を担っている。細胞内でのHes7遺伝子発現量の振動リズムが細胞間で同期することで、組織レベルのダイナミクスへつながる。この組織レベルでのHes7遺伝子発現量の同期が、規則正しい体節形成に重要であると考えられている。しかし、これまで、マウス胚において1細胞レベルでHes7遺伝子の振動を観察することは困難であり、細胞どうしの同期が生じる際の分子的なメカニズムは明らかにされていなかった。

Lfng遺伝子が隣接細胞へのシグナル伝達に適切な遅れを生じさせて同期を促進

今回、研究グループは、新規の黄色蛍光タンパク質Achillesを用いたマウス胚のライブイメージングにより、Hes7遺伝子の発現量を1細胞レベルで計測。これにより、個々の細胞での振動の様子を可視化することに成功した。この系を用いて詳細に解析した結果、糖転移酵素の一種であるLunatic fringe()遺伝子が、細胞間のシグナル伝達に適切な遅れを生み出し、これが同期を促進することを明らかにした。

Lfng遺伝子は、ヒトにおける先天性脊柱側弯症の原因遺伝子として知られている。研究グループは、「今回の研究成果は、先天性脊柱側弯症などの遺伝疾患の発生メカニズムや、ホタルの集団発光やメトロノームの同期現象などといった自然界に普遍的にみられるリズム現象の同期メカニズムの理解につながると期待される」と、述べている。(QLifePro編集部)

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