山口県は24日、国の承認内容と異なる方法で医薬品原薬や添加剤など18品目を製造したとして、協和発酵バイオに対し、医薬品医療機器等法に基づく行政処分を命じた。同社防府工場の医薬品製造業について25日から来年1月11日までの18日間の業務停止とするほか、組織体制の見直しや再発防止策を講じることなどの業務改善命令を出した。
処分の根拠となった違反品目は、L-アラニル-L-グルタミン、マイトマイシンC、塩化ナトリウム、オロチン酸など18品目。
協和発酵バイオは昨年、米FDAから医薬品原料の分析試験手順の不備やデータ完全性の確保に関する指摘を受け、製造プロセス全体の調査を行い、複数品目で承認時に定められた製造手順と異なる製造が行われた事実が判明した。
9月から自主的に製造・出荷を一時中断し、全品目で製造手順の確認と品質影響評価に関する調査を行い、山口県に報告。県の査察を受けて今回の行政処分に至った。
これまでの調査で、協和キリンに供給している抗悪性腫瘍薬「マイトマイシン注用2mg・10mg」の原薬であるマイトマイシンCについては、製造過程で無菌性の確保に影響する事実が判明し、協和キリンが9月から自主回収(クラス2)を行っている。
それ以外の製品については、約200社が対象となる原薬を用いた医薬品を販売しているが、品質・安全性に問題ないことを確認している。
協和発酵バイオは、今回の行政処分を受け、「真摯に受け止め、深く反省すると共に、患者、医療関係者、顧客に対して心からお詫びする」との声明を発表。
現在、再発防止に向け、今回の事態に至った経緯や事実の全容について、第三者が主導するグループ調査委員会による調査を行っており、結果がまとまり次第、再発防止策について当局に報告する予定としている。