調査は、6年制第8期生を輩出した薬系大学をはじめ、全国の国公私立薬系大学73大学(74学部)から回答を得た。6年制卒業生の総数は1万0400人と最多となった昨年から821人増加し、初めて1万人を突破した。男女別に見ると、男性が4063人、女性6337人だった。
このうち、大学が進路を把握した就職者は、8826人と783人増加した。就職率で見ても、卒業生の84.9%と昨年に比べて0.9ポイント上昇した。
就職しなかった人の総数は1574人と昨年から38人とわずかに増加。そのうち、進学者は177人と昨年から37人の増加に転じ、非就職者と未定の人の合計も1377人と昨年の1374人とほぼ横ばいにとどまった。
就職しなかった人の増加傾向は一服したものの、減少に転じるまでの動きは見られておらず、依然として非就職者と未定者の割合が全体の約13%と高止まりが続いている状況に変わりはない。
第104回薬剤師国試の新卒合格率は85.50%と前年から上昇し、新卒者のうち国試を受験しなかった人も892人と昨年の973人から減少した。昨年に比べて状況はさらに改善しているが、新卒者の21.8%が薬剤師資格を取得せず、8.6%が国試を受験していない状況には注視が必要となりそうだ。
6年制卒業生の就職先を見ると、最も多かったのは保険薬局の4455人で、全体に占める割合は42.8%に上昇して4割を突破した。ドラッグストアなどの一般販売業の617人、卸売販売業の39人を合わせた就職者の合計は5111人(49.1%)と卒業生の約半数を占めた。保険薬局、ドラッグストアなど医薬品販売業への就職率は、15年の37.8%を底に4年連続で上昇し、今年は第1期卒業生を輩出した12年以来で最高水準となった。
次いで多かったのは、国公私立の大学付属病院・一般病院・診療所薬局の2148人(20.7%)となった。病院・薬局の研究生となった72人を合わせると2220人(21.3%)となり、前年度に比べ就職者数は45人の増加に転じたが、就職率は1.4ポイント低下した。病院・診療所への就職率は、6年制第1期生を輩出した12年の約30%から低下傾向に歯止めがかかっていない。
これに対して、医薬品関連企業に就職した人は、その他の企業と合わせると1043人(10.0%)と前年より38人増加した。そのうち、「開発・学術」が364人(3.5%)が最も多い傾向は変わらず、次いで「医薬情報担当者」(MR)の289人、「研究・試験・製造」の157人、「その他の職種」の72人となった。
製薬企業等への就職は、3年連続で1000人台を割り、減少傾向が続いていたが、今年は昨年の907人から増加して1000人台に回復。全体に占める割合も1割台に戻った。最近5年間は10%前後で推移している状況にある。また、行政への就職者は252人と昨年から15人増加。そのうち、衛生行政への就職者は222人となった。
表:2019年3月 6年制学科卒業生就職状況(薬学教育協議会調査一部改変)
■6年制博士修了の第4期生、「教育・研究職」が最多に
一方、6年制薬学部に併設される4年制学科の大学院博士課程(6+4)を修了した第4期生の進路も判明した。博士課程を修了したのは、国公立53人、私立82人の合計135人と昨年から11人増加した。国公立大学の男性修了者、私立大学の女性修了者が増えたことが主な要因。博士課程修了者の就職先は、教育・研究職が51人(男性36人、女性15人)と最も多かった。
国公立の博士課程修了者の就職動向を見ると、大学の助教など教育・研究職が15人(28.3%)と最も多く、次いで製薬企業の研究・開発職が昨年の7人から増加し、12人(22.6%)となった。昨年は次点となった病院薬局・薬剤部は8人(15.1%)となり、製薬企業の研究・開発職と逆転した。これらの就職先が約7割と大半を占めたほか、官公庁が6人、その他職業が7人、保険薬局も2人が就職した。
私立の博士課程修了者でも、教育・研究職が36人(43.9%)と最も多い傾向は変わらず、次いで病院薬局・薬剤部が16人(19.5%)となった。臨床重視の6年制博士課程を修了し、病院薬剤部に就職する人が国公立に比べて多い傾向にある。製薬企業の研究・開発職は14人(17.1%)、化学メーカーなどの化学・食品等が4人、官公庁にも3人が就職した。