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サンタクロースがインフルエンザや麻疹に罹患の場合、子どもにうつる確率は?-京大

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2019年12月26日 AM11:15

多くの子どもたちが一晩で接触するサンタクロース、もし感染症に罹患していたら?

京都大学は12月25日、サンタクロースがクリスマスイブに感染症(インフルエンザと麻疹)にかかっていた場合、どれだけの人が病気をうつされるのか差分方程式を用いた数理モデルによって解析した結果を発表した。この研究は、同大学ウイルス・再生医科学研究所の古瀬祐気特定助教らの研究グループによるもの。研究成果は、国際学術誌「Medical Journal of Australia」に掲載されている。


画像はリリースより

世界の一部の地域では、クリスマスイブにサンタクロースが子どもたちにプレゼントを届けてくれると信じられている。先行研究により、子どもたちの90%程度がサンタクロースの訪問を受けることが報告されている。このように多くの子どもたちが一晩で接触するサンタクロースが、万が一感染症にかかっていた場合、どれだけの感染伝播が起こり、さらに結果として公衆衛生上どれほどのインパクトがあるかはこれまでに明らかにされていなかった。

差分方程式に基づく数理モデルで感染症伝播を解析

感染症の伝播拡大の様子は、差分方程式に基づく数理モデルを用いて解析することができる。同研究ではこれを応用し、サンタクロースが子どもたちに病気をうつす確率を記述。さらにその結果としてどれほどの被害が人口全体に生じるかをシミュレーションによって解析した。今回は、感染症としてインフルエンザと麻疹の2種類を考慮した。インフルエンザに関しては、冬季流行のピーク頃にクリスマスイブが一致する状況を想定し、インフルエンザに罹患したサンタクロースが子どもたちのところを訪れた場合と、そうでない場合を比較。麻疹に関しては、ワクチン接種率の高い集団を想定し、麻疹に感染した通常の大人1人がこの集団に加わる場合と、麻疹に感染したサンタクロースがクリスマスイブに多くの子どもたちを訪ねる場合とを比較した。

また、サンタクロースが一晩に多数の子どもたちのところを訪れることを鑑みると、その滞在時間は非常に短いことが予想されるため、サンタクロースから子どもたちへの感染伝播効率が「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率と同じ」「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率の10%」「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率の1%」という3つのパターンでシミュレーションを実施した。

麻疹感染の場合は、100%大規模流行のパターンも

解析の結果、サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率が「通常の大人から子どもへうつる確率と同じ」ときには、インフルエンザの流行規模(最終的な感染者の数)が約12%大きくなることがわかった。この感染者数の増加は、子どもだけでなく大人の間でも見られたという。しかし、サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率が「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率の10%」あるいは「1%」のときには、このようなインフルエンザに罹患したサンタクロースによる流行規模の増大は起きなかった。

一方、麻疹では、子どもたちのワクチン接種率が85%のとき、感染した通常の大人1人が流入しても、ワクチンの効果によって64%の確率で流行は起きなかった。残り15%の確率で小規模の流行が、21%の確率で大規模な流行が起こることがわかった。麻疹に罹患したサンタクロースがクリスマスイブに子どもたちを訪れた場合、サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率が「通常の大人から子どもへうつる確率と同じ」ときには、100%の確率で大規模な流行がおこった。サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播確率が「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率の10%」のときでも、77%の確率で大規模な流行が起きたが、サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率が「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率の1%」のときには、通常の大人によって流行が引き起こされる確率とほぼ同じになった。子どもたちのワクチン接種率が95%のときには、どのようなパターンのシミュレーションを行っても、麻疹に罹患したサンタクロースによって大規模な流行が起こることはなかったという。

今回に研究により、サンタクロースが感染症に罹患していた場合に生じる負の側面が明らかになった。しかし、その影響は「サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率」によっては打ち消すことができるため、子どもたちのワクチン接種率の向上や、さらにはサンタクロースのこまめな手洗い・マスクの着用が推奨される、と研究グループは述べている。

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