今回、診療報酬の本体部分はプラスとなったが、平均乖離率を踏まえ実施される通常の薬価改定で0.99%(国費1100億円程度)、材料改定で0.02%(国費30億円程度)引き下げられることから、全体では0.46%のマイナス改定となる。
薬価0.99%引き下げの内訳については、実勢価等改定でマイナス0.43%(国費500億円程度)、2020年度薬価制度改革による市場拡大再算定の見直し等の影響で0.01%(国費10億円程度)などとなっている。
過去2回の診療報酬改定では、本体プラス改定の財源捻出策の一環として、改定率の「外枠」で大型門前薬局の報酬削減やOTC類似薬の使用制限などの対応が行われており、18年度改定では「いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化」として国費で60億円程度が削減された。
ただ、20年度改定では、こうした外枠で財源を捻出する対応について「行っていない」(厚労省)と説明している。
今回の閣僚折衝では、地域医療構想を進めるため、病床数削減に取り組む病院への財政支援として、約84億円を充てることも決まった。厚労省によると、一定の条件を満たした病床のうち10%以上削減する病院が支援対象となる見込み。20年度は国費で賄うが、21年度以降は消費税を財源とした新たな支援制度を創設する。
診療報酬改定により、20年度の社会保障関係費の実質的な伸びについては、概算要求段階の5300億円程度から4100億円程度に圧縮する。
■「主張が理解された」-日薬、改定率で見解
日本薬剤師会は同日、改定率の決定を受けて見解を公表した。プラス改定となり、医科と調剤の改定率配分(1:0.3)が堅持されたことや、通常改定分とは別の適正化措置が講じられなかったため、「本会の主張が理解されたものと受け止めている」とした。
一方、「後発品を含む医薬品の備蓄品目数の増加に伴う負担や高額医薬品が増える中、薬価の引き下げに伴う在庫医薬品の資産価値の減少は、保険薬局の経営に大きな影響を及ぼす」と懸念を示した。
また、今月4日に公布された改正医薬品医療機器等法で、薬剤師に調剤時のみならず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況把握や服薬指導を行わなければならないことや、患者の使用薬剤の服用状況に関する情報を医師に提供することを求めていることに言及。
「現在、中央社会保険医療協議会で進められている改定に向けた議論では、医薬分業のあるべき姿や調剤報酬に対する厳しい指摘がなされているが、薬機法改正の趣旨でもある患者を個別具体化した薬物療法の確保に関する薬剤師への期待に応えるため、積極的かつ真摯に取り組んでいかなければならない」とした。