この日の総会では、引き続き検討することとしていた対人業務の評価について議論。退院後に簡易懸濁法を開始する患者に薬局で薬剤選択を提案し、家族に簡易懸濁法を説明・指導したことの評価について、有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「患者に適切な薬物治療を提供する上で非常に有効。医師と薬剤師の連携の観点からも一定の評価が必要」と訴えた。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)も「医師を含めた関係者間の理解のもとで実施されることは了承する」と同調しつつ、「退院後の移行期は在宅チームに薬剤管理を引き継ぐため、必要な患者には病院薬剤師が訪問管理薬剤指導を行うことがあっても良い」との考えを示した。
一方、薬剤服用歴管理指導料をめぐっては、患者の来局を促すため、再度来局する期間を現在の6カ月以内から一定程度短縮することが論点となっていたが、松本氏は「実際にこの提案で達成できるか疑問だ。要件設定は慎重に検討すべき」と述べ、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「働いている人は居住地と勤務地の薬局を使い分けているケースが多い。6カ月より短くすることで患者にインセンティブが効いて、行動変容につながるかは疑問」と否定的な考えを示した。
さらに、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者にデモ機を使用して吸入指導を行った場合の評価について、吉森氏は「医師からの指示があった場合に、患者が使用経験があるという話になると指導する必要がなくなる。患者の了解と同意を盛り込むべき」と要望。松本氏は「実施前に医師との連携が必要となるため、導入するのであれば、実施状況の十分な検証をお願いしたい」と注文を付けた。
処方薬の用法・用量を最適化する取り組みを進めるため、患者の血液検査値を活用して処方内容が変更された場合の評価拡充については、有澤氏が「疑義照会において情報を活用し、処方内容を変更した場合は評価の拡充を考えてほしい」と要望。
一方で、松本氏は「薬局が持つデータは、患者の過去のデータである場合があり、そのデータに基づいて適切な医学的判断ができるか疑問」と慎重姿勢を崩さなかった。