調査は、8月下旬に県内の会員586薬局を対象に実施。25問のアンケート調査票をFAXで配信し、320薬局から回答があった。「かかりつけ薬剤師の役割を発揮できる薬局数」として厚生労働省が設定した四つのKPIを参考に、▽電子版お薬手帳の導入状況▽在宅業務の実施状況▽健康サポート薬局研修を修了した薬剤師の配置や多職種連携会議の出席状況▽医師への患者服薬情報の提供状況――などを尋ねた。
電子版お薬手帳の導入状況を聞いたところ、滋賀県では79.1%の薬局が導入していることが分かった。厚労省が昨年度、全国の薬局を対象に実施した調査では導入薬局は48.1%だったが、厚労省調査を大きく上回った。
滋賀県薬は、2015年からソニーのカード型電子お薬手帳サービス「harmo」(ハルモ)の導入を推進しており、これまでの取り組みの成果が現れた格好。滋賀県が実施した別の調査によると、実際に電子版お薬手帳を使っている患者の割合も全国平均に比べて大幅に高く、4人に1人が使っていた。
在宅業務の実施状況については、66.3%の薬局が「行っている」と回答した。厚労省の全国調査では1年間に平均月1回以上在宅業務を実施した割合は55.0%だった。設問が異なるため、正確な比較にはならないものの、全国平均に引けを取らない結果となった。定期的に開催する連携会議を通じて薬剤師の在宅業務について理解が深まり、多職種からの訪問依頼が増えつつあるようだ。
また、他団体と連携した薬局での健康生活提案イベント開催を滋賀県薬が支援する事業について、実施率を聞いたところ、55.0%が「取り組んでいる」と回答した。県内の健康サポート薬局は15薬局(4.7%)とまだ少ないが、事業を通じて増やす計画だ。
調査を実施した背景について、滋賀県薬の大原整会長は「医薬品医療機器等法改正に向けた医薬品医療機器制度部会での議論で、薬剤師は何もやっていないかのような意見があった。患者中心の業務に取り組んでいる薬局は少なくないが、取り組みの見える化や見せる化がうまくできていないのが現状。KPIは、薬剤師が努力を積み重ねていることを表現する指標になると考え、独自に調査を実施した」と話す。
今回の調査結果をもとに、薬剤師の取り組みに対する多職種の理解を深め、連携を強化したい考えだ。