今回の事務連絡は、シンガポールのHSAがメトホルミン含有製剤からNDMAが検出され、一部事業者が自主回収に着手したと発表し、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)も注意喚起を行っていることを受けたもの。
有効期限内の製剤と製剤に使用される原薬についてNDMAの分析を行い、その結果を医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課まで報告することを求めている。分析は、バリデーションされた方法で服用患者におけるNDMAの摂取量が1日0.0959μgを上回らないことを確認できる適切な検査水準で実施することを求めている。
NDMAの生成原因として可能性が指摘されているジメチルアミン、亜硝酸、亜硝酸塩などの物質についても、NDMAの混入リスクの有無と根拠を同課まで報告するよう求めた。
メトホルミン製剤へのNDMA混入により想定される健康被害リスクについて、HSAは「検出されたNDMAの量は1日許容摂取量を上回るもののごく微量であり、回収対象となっている製剤を短期間服用したことによるリスクは極めて低い」としている。
厚労省は、現時点で国内のメトホルミン含有製剤からNDMAは検出されていないとし、医療機関に対してメトホルミン処方に問題がないこと、患者から相談を受けた場合は服用を中止しないよう説明を行うことを注意喚起している。
■服用中止しないよう要請-糖尿病学会が注意喚起
また、日本糖尿病学会は10日、厚労省からの通知を受けて医療関係者に患者がメトホルミンの服用を中止しないよう対応を求める注意喚起を行った。
同学会は、メトホルミンは血糖コントロールに有効な薬剤とした上で、「現時点ではわが国のメトホルミン製剤からNDMAは検出されておらず、現在国内各社で調査中の段階」と説明。
厚労省通知でも、従来通りメトホルミンを服用しても問題なく、患者から相談を受けた場合には糖尿病治療の必要性を説明すると共に、服用を中止しないよう対応を求める要請があったことから、患者に対して通知に沿った対応を呼びかけている。