中央社会保険医療協議会の診療、支払の各側は6日、次期診療報酬改定に関する意見書を総会に提出した。診療側は「地域の医療現場を支えるために医療従事者にも十分な手当を行うことで経済の好循環が達成できる」とし、医師等の働き方改革の推進に向けても診療報酬本体のプラス改定を求めたが、支払側は「国公立・公的病院以外の経営状況は概ね堅調。特に一般診療所は高い利益率を維持し、同一グループの保険薬局も店舗数が多いほど高い利益水準」と主張した。
診療側は、医療経済実態調査の結果から、「医療機関等は総じて横ばいの経営状況となった」と主張。医療の質確保、患者ニーズの多様化に応えるため、一般病院、一般診療所共に様々な職種の従事者が増え、給与費率は上昇しているとし、適切な財源の確保を求めた。
また、「骨太方針」などに基づき国民医療費の伸びを抑えようとする圧力が続いていると指摘。社会保障を充実するための政策で国民の将来負担を緩和し、経済発展による豊かさを国民に還元していく中で、税収増による財政健全化への道筋を立てることこそが本来の政府の考え方と主張。患者負担のみに偏った視点の議論をけん制した。
その上で、2040年の医療提供体制を見据え、医師・医療従事者の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制改革を実施していくことが求められているとし、これにより持続可能な社会保障制度の実現につなげ、社会保障の充実によって国民不安を解消することができるなどとする見解を提示。薬価改定財源を診療報酬本体に充当すべきと主張した。
一方、支払側は、医療経済実態調査の結果から、「国公立・公的病院以外の経営状況は概ね堅調。特に一般診療所は高い利益率を維持し、同一グループの保険薬局も店舗数が多いほど高い利益水準」と指摘。今後も高齢化や人口減少、医療の高度化などによる給付費増加に伴い、保険料負担は増大すると懸念を示し、国民負担の軽減を確実に図るため、診療報酬はマイナス改定とすべきと主張した。
薬価については、薬価調査の結果に基づく改定を行うと共に、イノベーションの推進にも配慮しながら薬価制度抜本改革に基づく対応も合わせて検討すべきとし、薬価引き下げ分は診療報酬本体に充当することなく、国民に還元すべきとの考えを示した。