事業用地は、愛媛大学病院外来棟玄関北西部に位置する約19万m2のエリア。愛媛大学は、現在は外来患者の駐車場として利用されているエリアに、立体駐車場や多目的棟を設置し、患者サービスの向上や大学関係者の福利厚生の充実を図る計画。これら事業を担う民間事業者を公募することになった。
多目的棟には、患者のリハビリテーションを行うスペースに加え、大学関係者が利用する会議室やスタッフルームを設けることが必須条件。その他は、民間事業者が複数の店舗を誘致することを容認する。
事業者は、自ら調達した資金で多目的棟や駐車場を整備し、これらを大学に貸し付けて賃貸料を得るほか、多目的棟の入居者からの利用料金で投資を回収する。20年間の事業期間経過後は原則として借地権が消失し、事業者は大学に無償で建物を譲渡する。
このスキームは、大学病院で初めて敷地内薬局を設置した滋賀医科大学病院を筆頭に、各地の大学病院で繰り返されてきたものだ。大学にとっては、多額の資金を用意せずに必要な施設を設置できるため、メリットが大きい。
今回も、民間事業者が大学に提示する計画に薬局の入居が盛り込まれると見られる。
愛媛大学は11月下旬に事業計画を公告。5日に公募要項の説明会を行った。民間事業者からの事業計画提案を27日まで受け付け、2020年2月末には優先交渉権者を決めて協定書を締結する。20年末までに必要な工事を終え、21年2月から新設した建物の運用を開始する計画だ。
四国では、既に高知大学病院で敷地内薬局が稼働。徳島大学病院でも現在工事中の建物に来春には敷地内薬局が入居する見通しとなっている。
こうした状況について、愛媛県薬剤師会の古川清会長は「かつて第二薬局が問題視されたが、敷地内薬局はそれと似ており、医薬分業の意義に反している。大学病院に限らず、民間病院に動きが波及することを懸念している。今後、中国四国の各県薬会長名で反対声明を出すことなどを検討していきたい」と話している。