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かぜ薬などの既存薬に、フェロトーシス抑制効果があると判明-東北大ほか

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2019年12月11日 AM11:45

脂質の過酸化による細胞死「」を抑制する薬剤の開発が望まれている

東北大学は12月6日、かぜ薬の成分でもあるプロメタジンや抗菌薬であるリファンピシンなどのさまざまな既存薬が、フェロトーシスを抑制する作用を有していることを発見し、急性腎障害や肝障害のモデルマウスで症状を軽減する効果があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科 腎高血圧内分泌学分野の三島英換院内講師、同大大学院医工学研究科の阿部高明教授らが、同大大学院農学研究科 仲川清隆教授、九州大学大学院薬学研究院 山田健一教授の研究グループと共同で行ったもの。研究成果は、米国腎臓学会誌「Journal of the American Society of Nephrology」の電子版に掲載されている。


画像はリリースより

フェロトーシスは、脂質の過酸化が引き金となって起きる細胞死のひとつであり、急性の臓器障害やパーキンソン病といった神経変性疾患などの原因に関わると考えられていることから、フェロトーシスを抑制する薬剤の開発が望まれている。過去の研究から、異物・薬物の代謝酵素である「シトクロームP450ファミリー」によって代謝される薬剤の一部は、脂質の過酸化を抑制する作用を持つことが知られている。脂質酸化を抑制し得る薬剤は、フェロトーシスを抑える効果が期待されるため、研究グループは、シトクロームP450ファミリーの基質となる薬剤の中から、フェロトーシスを抑制する作用を持つ薬剤を探索し、その治療効果を急性臓器障害実験で検証した。

さまざまな既存薬が脂質ペルオキシラジカルを消去することでフェロトーシスを抑制

培養細胞を用いた薬剤探索の結果、かぜ薬の成分であるプロメタジンや抗菌薬のリファンピシンなど、さまざまな既存薬がフェロトーシスを抑制することを明らかにした。また、共同研究者である九州大の山田教授が開発した脂質ラジカルを特異的に検出する試薬「NBD-Pen」により、これらの薬剤が脂質ペルオキシラジカルを消去することでフェロトーシスを抑えていることを明らかにした。さらに、低濃度でもフェロトーシス抑制作用を示すプロメタジンやリファンピシンは、急性腎障害や急性肝障害モデルマウスにおいても、フェロトーシスを抑えることで腎障害や肝障害を軽減していることも判明した。

今回、臨床で既に使用されている既存の承認薬の中からフェロトーシス細胞死を抑制する薬剤を見つけたことで、今後これらの薬剤がドラッグ・リポジショニングとして、フェロトーシスが関わる病態の治療薬の応用や発展に貢献することが期待される。また、同研究で用いた薬剤と評価法が、有効なフェロトーシス抑制薬の探索や評価方法として応用されていくことも期待される。

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