日本人2型糖尿病患者2,536人対象に、約15年間の認知症発症の有無を追跡
兵庫医科大学は12月5日、低用量アスピリン療法が、2型糖尿病女性患者の認知症発症リスクを低下させる可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大学臨床疫学の森本剛教授、国立循環器病研究センターの小川久雄理事長、奈良県立医科大学の斎藤能彦教授、熊本大学の副島弘文准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Diabetes Care」電子版で掲載された。
画像はリリースより
日本の認知症有病者は、2012年の時点で462万人と年々増加傾向にあり、認知症の発症遅延や発症リスクの低減が重要となっている。特に、糖尿病を持病として持つ高齢者の場合は、高血糖の状態が続くことで認知機能が低下しやすく、アルツハイマー型認知症の発症リスクは約1.5倍、脳血管性認知症は約2.5倍という報告もある。そこで今回、研究グループは糖尿病と認知症発症の関連に着目した。
今回の研究は、2002年より日本国内の163施設と協力して開始した「日本人2型糖尿病患者における低用量アスピリン療法の心血管疾患一次予防」の臨床試験であるJPAD研究に参加し、同研究に同意した日本人2型糖尿病患者2,536人を対象に実施。低用量アスピリン(81-100mg/日)を服用するグループ1,259人と、服用しないグループ1,277人にランダムに分類し、2002~2017年の約15年間で認知症発症の有無を追跡した。
低用量アスピリンを服用し続けた女性患者、認知症発症リスク42%低下
追跡の結果、2,536人のうち128人が認知症を発症。男女差に関する発症率を分析した結果、低用量アスピリンの服用の有無で、男性患者の認知症発症のリスクに差は見られなかったが、低用量アスピリンを服用し続けた女性患者は、認知症発症のリスクが42%低下したという。
研究グループは、今後、低用量アスピリンの認知症予防効果を解明していくことで、将来的に低用量アスピリンが認知症予防薬として活用されることが期待される、と述べている。
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