■薬価調査、速報結果を報告
今回の調査は、今年9月取引分を対象に販売サイドから11月5日までに報告があった取引価格を集計。独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けた医薬品卸大手4社による地域医療機能推進機構への販売データについては、「適正な市場価格を把握する観点」から除外して乖離率を算出した。
市場規模の大きい主な薬効群別の乖離率を取引金額上位で見ると、内用薬は「高脂血症用剤」が13.9%で最大の乖離率となり、「血圧降下剤」13.4%、「消化性潰瘍用剤」12.3%、「精神神経用剤」10.0%の順に続き、内用薬全体では9.2%だった。
注射薬では、「その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)」7.8%、「他に分類されない代謝性医薬品」6.3%、「眼科用剤」5.3%、「その他の腫瘍用薬」5.0%、「血液製剤類」3.3%の順で、注射薬全体では6.0%だった。
外用薬については、「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」8.9%、「眼科用剤」8.0%、「その他の呼吸器官用薬」6.8%の順となった。外用薬全体では、7.7%だった。
また、後発品の数量シェアは約76.7%で、18年の約72.6%から4.1ポイント上昇した。
今後、薬価調査の結果をもとに、新薬創出等加算対象品目や長期収載品の薬価引き下げなどが決まるため、引き下げ率が変動する可能性がある。
■「実勢価を恣意的操作」-流通の信頼性に厳しい声
今回は、談合疑惑を受けて大手卸が関わる一部の販売データを除外し、乖離率を算出する事態となった。
厚労省の林俊宏医政局経済課長は、現在も公正取引委員会が調査を進めていると説明。「疑いが事実であれば、公正自由な競争を通じた価格形成を阻害する行為であり、卸売業者を所管する立場として誠に遺憾」との見解を示し、「業界への指導を含めて全力で対応し、その状況を総会に報告したい」と述べた。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「公定価格の基礎となる市場実勢価が恣意的に操作されており、医薬品流通への信頼性が完全に損なわれる事態だ」と厳しく指摘。「早急に実態を把握して開示し、関係した業者に厳格に対処して、流通の透明性と正確性を高めるための再発防止策を報告してほしい」と訴えた。