日薬連は、2016年に法規制合理化検討プロジェクトを立ち上げ、薬機法改正に向けたタスクフォースを設置するなど検討を進めてきた。昨年4月には厚生労働大臣に制度改正に対する要望を提出していたが、今回業界要望がほぼ認められる形で法案が成立した。
今後、業界団体として、新制度への移行を推進していく。先駆け審査指定制度や条件付き早期承認制度への対応は、新薬に関連する日本製薬工業協会や米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会が中心に進めるが、製薬企業に影響するそれ以外の事項については主に日薬連の各委員会が取り組む。
今回の法改正で最も慎重な対応が必要となるのが、多くの企業や医療機関、薬局、患者が関わる添付文書情報の電子化だ。約17万製品の添付文書情報のうち、年に10~15%程度の製品で改訂が行われ、申請から改訂までに半年の審査期間を必要だった。添付文書の電子的な方法による提供を原則化し、医薬品の包装などにバーコードなどの表示が義務づけられたことで、タイムリーな情報提供が可能になった。
法改正の付帯決議では、「災害等があった場合に添付文書情報へのアクセスを確保するための方策について検討する」ことなどが謳われており、情報改訂時に確実に情報を届ける仕組みを検討する。特にIT環境のない医療機関に対しては紙媒体の添付文書情報を配布することも視野に対応を図る。また、医療機関が添付文書情報を検索する手間を軽減するための方策として、タブレットPCやスマートフォンから製品外箱のバーコードを読み取り、医薬品医療機器総合機構のホームページに誘導する仕組みも検討する。
日薬連安全性委員会の滝田諭委員長は、「公布から2年以内の施行に加え、施行後の2年間は紙から電子化への経過期間になる。何とか実運用までの4年の猶予期間で添付文書の電子化に対応していきたい」と述べた。