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大規模調査で「ドライアイ未診断者」の危険因子が判明、早期予防の実現に期待-順大

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2019年12月02日 AM11:15

「ドライアイ未診断者」の特徴を明らかに

順天堂大学は11月29日、ドライアイの症状はあるが、未だに診断を受けず症状に苦しんでいる「ドライアイ未診断者」の特徴を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科眼科学の村上晶教授、猪俣武範助教らの研究グループによるもの。研究成果は、米国医師会の眼科学雑誌「JAMA Ophthalmology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

ドライアイは国内で2000万人以上が罹患するとされる最も多い眼疾患のひとつであり、超高齢社会、デジタル作業の増加などにより、今後も増えることが予想されている。ドライアイに罹患すると、眼不快感、眼精疲労、視機能低下により、QOLや仕事の生産性が低下することがわかっている。

さらに、研究グループが行ったこれまでの調査から、症状は有するがドライアイと診断されず、症状に苦しんでいる「ドライアイ未診断者」が多く存在することが明らかにされていた。そこで今回、同研究グループは、ドライアイ未受診者の特徴を明らかにすることを目的に、アプリで収集したデータをもとに、大規模臨床研究による調査を実施した。

危険因子は「若年齢、男性、膠原病・精神疾患・眼科手術・コンタクトレンズの装用なし」

今回の研究では、iPhoneアプリ「(R)」を2016年11月~2018年1月の間(1年2か月)にダウンロードした国内のユーザーを対象に、ドライアイの自覚症状と参加者の基本情報、病歴、生活習慣などとの関連を解析し、ドライアイ未診断者の危険因子を導出した。ドライアイの自覚症状の評価には、ドライアイ疾患特異的問診票であるOcular Surface Disease Index(OSDI)を使用し、OSDIのスコアが13点以上をドライアイ症状ありと定義した。また、「ドライアイ症状あり(OSDI13点以上)」かつ「過去にドライアイの診断なし」と回答した参加者をドライアイ未診断群と定義した。

ドライアイリズムは上記の対象期間に18,891回ダウンロードされ、2万1,394の個別医療ビッグデータを収集した。そのうち、基本情報、病歴、生活習慣、OSDIなどに回答した4,454名を同研究の対象とした。ドライアイリズムでは、年齢、性別などの基本情報と、高血圧、糖尿病、血液疾患、脳疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、悪性腫瘍、呼吸器疾患、花粉症、精神疾患、眼手術歴などの病歴、コーヒー摂取量、コンタクトレンズ装用の有無、点眼使用の有無、モニターを見る時間、睡眠時間、喫煙、飲水量などの生活習慣、抑うつ症状との関連を調査した。

分析の結果、4,454名の研究対象者のうち、53.8%(2,395名)を、ドライアイ症状はあるがドライアイと診断されていない「ドライアイ未診断者」として特定した。また、年齢が1歳増えるごとに0.96倍、女性は男性と比較して0.55倍、膠原病ありは0.23倍、精神疾患の既往ありは0.50倍、眼手術の既往ありは0.41倍、コンタクトレンズの装用歴はコンタクトレンズ非装用者と比較して現在装用が0.64倍、過去に装用が0.45倍、喫煙習慣ありは1.53倍、ドライアイ未診断者であることが判明。これらの結果から、ドライアイ未診断者の危険因子として「若年齢、男性、膠原病・精神疾患・眼科手術・コンタクトレンズの装用がないこと」が明らかになった。

今回の研究により、ドライアイ未診断者の危険因子が明らかになった。これに該当する人の多くが、ドライアイ未診断者としてQOLの低下や、仕事や勉学の生産性の低下に苦しんでいる可能性が考えられるが、同成果が、ドライアイ未診断者への早期の予防および効果的な介入につながる可能性があるという。

研究グループは、「発展的には、人工知能を用いた個別のドライアイの発症予測アルゴリズムの創出につなげたいと考えている。これにより将来のスマートフォンアプリを使った個別医療や先制医療に資することが可能になる」と、述べている。なお、ドライアイリズムは、さらなるドライアイの啓発と予防のため、アンドロイド版の開発および医学研究における患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)によるスマホアプリのアップデートを行う予定。

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