中央社会保険医療協議会の診療側、支払側委員は27日の総会に、医療経済実態調査の結果に対する見解を示した。2018年度の保険薬局の収支状況について、診療側は前年度より損益差額率が減少したことなどから「厳しい経営状況」にあり、今後の医薬品供給に悪影響が生じる可能性を主張。一方、支払側は保険薬局全体で5.5%の黒字だったことを踏まえ、20店舗以上の店舗数を持つ薬局を中心に「経営は比較的安定している」との分析結果を示した。
診療側は保険薬局の収支状況について、保険調剤の収益減少と給与費の増加が影響し、損益差額率が前年度より個人立で1%、法人立で1.4%減少したことから、「厳しい経営状況」と指摘。
法人立保険薬局の店舗数別で見ると、特に1店舗、2~5店舗の小規模薬局の損益差額率は1~2%程度であることなどを踏まえ、「経営基盤が極めて脆弱。このままの状況が続けば、今後の地域の医薬品供給に支障を来たすことになりかねない」との見方を示した。
後発品の調剤割合の増加や薬価引き下げにより、医薬品費は圧縮傾向にあるものの、備蓄品目数増加や対人業務の充実のための人員増に伴い、医薬品の管理コストや人件費は増加しているとした。
一方、支払側の健康保険組合連合会は、医療機関・開設者別の損益差額率を経年(2011~18年度)で比べたデータを示した。
保険薬局の損益差額率については、大型門前薬局に対する調剤基本料が見直されたことなどから、18年度は法人を中心に前年度より低下したものの、個人立9.8%、法人立5.4%の黒字で、全体では5.5%の黒字だったことから、「経営は比較的安定している」と分析した。
法人立では、同一グループの店舗数が多いほど損益差額率が高いとし、6~19店舗で7.2%、20店舗以上で7.6%の黒字だったとした。また、「同一グループ20店舗以上の調査回答施設数が年々増加しており、大規模化が進んでいることがうかがわれる」と分析した。
立地別では、診療所前、診療所敷地内、医療モール内意薬局が、病院前と病院敷地内薬局と比べて損益差額率が高い傾向にあると指摘した。