傘下の新座病院が2014年からフォーミュラリーの運用を開始したのを皮切りに、グループ内の各病院で導入が進んだ。これまで策定したフォーミュラリーは、生活習慣病治療薬を中心に、▽DPP-4阻害薬▽SGLT-2阻害薬▽HMG-CoA還元酵素阻害薬▽利尿薬▽レニン・アンジオテンシン系阻害薬▽カルシウム拮抗薬▽H2受容体拮抗薬▽プロトンポンプ阻害薬▽ヒスタミン受容体拮抗薬――など15領域に及ぶ。各病院は、それぞれの特徴に応じて導入するフォーミュラリーを選択している。
傘下病院での導入をさらに推進するため、今年度に約300人に上るグループ内の薬剤師から、医薬品や薬物治療の評価能力を持つ8人が主なメンバーとなってフォーミュラリー検討作業部会が発足した。月1回集まって各病院のフォーミュラリー策定状況を確認し、導入拡大に向けた課題の解決策も検討している。傘下病院の薬剤師を対象にした勉強会も開き、周知を図っている。
作業部会で活動する安藤正純氏(戸塚共立第2病院薬剤科)は「規模が小さな病院ほど医師との意思疎通が容易でフォーミュラリーを導入しやすいが、規模が大きい病院では院内の理解を得るのに時間がかかる。今年度は薬剤部門として、フォーミュラリーの領域を増やし、導入病院を増やすことを目標に掲げている」と話す。
作業部会は、傘下の全29病院で9領域のフォーミュラリーを導入すると、年間約2800万円の医薬品費削減効果があるとの推計値も算出した。
フォーミュラリーは、薬効群ごとに薬剤の有効性や安全性、経済性などをエビデンスに基づいて網羅的に比較し、使用基準を明示するもの。医薬品の適正使用を推進するツールだが、経済効果の明示は病院経営者への説得材料になる。安藤氏は「次年度には、医師も含め病院グループ全体の目標としてフォーミュラリーの導入が位置づけられるように働きかけていきたい」と話している。
今後はグループ内での浸透を図りつつ、地域フォーミュラリーとしても根付かせていきたい考えだ。地域全体でフォーミュラリーを共有することで、医薬品の適正使用が充実する。地域の薬剤師会や医師会を対象に勉強会を開き、理解を得たいとしている。