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統合失調症に対するメタ認知トレーニング、考え方の「こり」をほぐすと効果的-東大

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2019年11月26日 AM11:45

欧米で有効性が評価された手法「MCT」、日本で普及へ

東京大学は11月22日、メタ認知トレーニング「MCT」という集団精神療法による統合失調症の妄想や幻覚への効果を、ランダム化比較試験によって検証した研究成果を発表した。これは、同大大学院総合文化研究科の石川亮太郎特任助教(現・大正大学専任講師)と石垣琢麿教授らの研究グループによるもの。成果は「Schizophrenia Research」に掲載されている。


画像はリリースより

MCTはドイツ・ハンブルク大学のモリッツ教授らによって開発された統合失調症向けの認知行動療法的アプローチの手法。自分と他者の考え方のくせを、ゲームや話し合いを介して知ることで、硬い考え方をほぐし、症状を軽減させるよう設計されている。これまでは、主に欧米諸国においてその有効性が検証されてきた。日本においては、石垣教授が会長を務める「MCT-Jネットワーク」が基盤となり普及が図っているが、ランダム化比較試験のような科学的妥当性の高い臨床試験はまだ行われていなかった。

考え方の「くせ」を参加者が共有し合うことで、妄想や幻覚の症状を改善

多施設の統合失調症当事者50人を、通常治療群(26人)と、通常治療+MCT群(24人)にランダムに割り付け、治療の開始前、最中、直後、1か月後で症状の変化を追った。本研究では、各グループのトレーナーは精神科医、精神科看護師、作業療法士であった。その結果、通常治療に加えてMCTを受けた当事者群は、通常治療のみの群と比べて、治療終了1か月後でも妄想や幻覚を中心とする症状が明らかに改善していた。

本研究は、MCTが日本でも統合失調症の症状の改善に有効だとするエビデンスを示した。認知行動療法のようにエビデンスに基づく精神療法は他にもあるが、MCTには丁寧なマニュアルがあるため治療者が長期間の訓練を受ける必要がなく、どのような職種の医療者でも実施可能である。石垣教授は、「楽しみながら学習できるメタ認知トレーニングの有効性が日本でも認められたことは、当事者にとっても大変喜ばしいこと。症状の軽減もさることながら、このトレーニングの最大の魅力は、誰もが持っている考え方のくせを参加者全員で考えることで、自分への理解が深まることだ」と、研究の意義を述べている。今後は、統合失調症だけでなくうつ病や不安症に対するメタ認知トレーニングの研究も行い、就労移行や復職支援での応用も検討する方針だという。

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