厚生労働省は22日、次期薬価制度改革に向けた論点を、中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示した。効能追加で市場規模が拡大し、既存薬に比べて1日薬価が大きく乖離して高い品目は、薬理作用が似た薬がない場合でも特例として再算定対象とするほか、新薬創出等加算の品目要件に先駆け審査指定の対象品目や薬剤耐性菌治療薬を追加。新規作用機序で高い革新性、有用性が示された品目を新たに要件に追加することなども盛り込んだ。
厚労省が示した論点では、新薬創出等加算の企業指標に、過去5年間の革新的新薬、薬剤耐性菌治療薬の収載実績の有無を追加。品目要件にも、薬剤耐性菌治療薬、先駆け審査指定の対象品目も加える。
長期収載品の段階的引き下げまでの期間については、後発品上市後10年が経過する前でも、後発品への置き換え率が8割以上となった場合は、その2年後の薬価改定時に再び置き換え率が8割以上であることを確認した上で、G1の対象とすることとした。
イノベーション評価については、効能追加のうち、新規作用機序で高い革新性、有用性が示された品目は薬価を引き上げる対応ではなく、新薬創出等加算の品目要件として評価することにした。
再算定については、効能追加によって市場規模が大幅に拡大し、既存薬よりも著しく1日薬価が高い場合は、薬理作用が似た薬がない場合でも再算定を行う特例を設けることにした。
後発品薬価は先発品の5割を継続し、価格帯の集約によって薬価が大幅に引き上がらないよう必要策を導入すべきとした。また、バイオAG(オーソライズドジェネリック)では、バイオシミラーと同様に先発品の7割とする。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、新薬創出等加算の品目要件追加について「要件拡大の影響を定期的に検証し、影響が大きい場合は見直すべき」とし、後発品薬価に関しては「価格帯をある程度維持しつつ、加重平均をやめて価格帯ごとの最低薬価に合わせるべき」との考えを示した。