1日1回の経口投与、MAO-Bの選択的阻害薬
エーザイ株式会社は11月20日、レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病における wearing off 現象の改善を効能・効果とするパーキンソン病治療剤「エクフィナ(R)錠 50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩、以下、エクフィナ)を新発売したと発表した。
画像はリリースより
日本において、パーキンソン病患者数は約 20 万人と推計され 、高齢化に伴い年々増加する傾向にある。パーキンソン病治療剤としては、脳内で不足したドパミンを補うレボドパ含有製剤が広く用いられているが、病気の進行に伴い、オン時間(病気の症状が抑えられている)が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れて動けなくなるwearing off現象を認める場合がある。オン時間が短くなることは、パーキンソン病患者の就労の機会や日常活動に影響をおよぼすことから、QOLを低下させる大きな要因となっている。
同剤は、1日1回の経口投与で、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)の選択的かつ可逆的な阻害作用により、内因性およびレボドパ含有製剤由来のドパミン脳内濃度の維持を助ける(ドパミン作動性作用)。また、電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介した脳内グルタミン酸放出抑制作用(非ドパミン作動性作用)を併せ持っている。
国内治験で症状抑制時間の延長、運動機能の改善を認める
今回の承認は、wearing off現象を有する日本人パーキンソン病患者を対象に、レボドパ含有製剤併用下でエクフィナの有効性および安全性を、プラセボと比較した二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験「ME2125-3 試験」、ならびに長期安全性および有効性を評価した非盲検第Ⅲ相試験「ME2125-4 試験」などの成績に基づいている。
ME2125-3 試験では、投与24週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量について、エクフィナ投与群(50mg、100mg)はプラセボ投与群に比較し、統計学的に有意なオン時間の延長を示した。50mg投与群は1.39時間の延長(95%CI: 0.67, 2.11、p=0.0002)、100mg 投与群は1.66 時間の延長(95%CI: 0.93, 2.39、p<0.0001)を認めた。エクフィナ投与群で確認された主な副作用(発現率 3%以上)はジスキネジアおよび幻視だった。
ME2125-4 試験では、投与52 週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)について、エクフィナ投与群(50mg または 100mg)においてオン時間の延長が認められ(1.42±2.72 時間)、エクフィナの長期投与においても有効性が継続することが示された。エクフィナ投与群で確認された主な副作用(発現率 3%以上)は、ジスキネジア、転倒および便秘だった。
同剤は、Meiji Seika ファルマ株式会社が開発。Meijiがサフィナミドの製造販売承認を保有し、エーザイが独占的に販売する。「日本におけるパーキンソン病治療の新たな選択肢としてエクフィナを届けることにより、パーキンソン病患者が自らの意思で自由に活動できる時間を増やし、QOL向上と家族のいきいきとした日常生活の創出に向け、より一層貢献していきたい」と、同社は述べている。
▼関連リンク
・エーザイ ニュースリリース