中央社会保険医療協議会は15日の総会で、重複投薬の解消などを進めるための診療報酬上の評価のあり方について議論した。厚生労働省は、かかりつけの医師と薬剤師が連携し、複数医療機関から薬が処方される患者の重複投薬を解消する対応案を示したが、支払側は「解消した結果で評価を行うべき」と主張。診療側は取り組みを評価する必要性を強調した。
厚労省は、かかりつけ医が起点となって一元把握、重複確認などを患者が利用する薬局に依頼し、薬局がお薬手帳やレセプト情報、患者への聞き取りを通して服用薬を把握し、重複する医薬品を確認。その結果を医療機関に報告して医師が重複の有無を評価した上で患者に説明し、必要に応じて他の医療機関と処方内容の調整を行い、かかりつけ医が薬局に調整結果を連絡する段階的なステップを踏む案を提示した。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「こうした取り組みは積極的に評価していくべき」としつつ、「薬を減らした場合のみを評価することは積極的な取り組みを阻害する」とし、「重複投薬を調整する取り組みを評価すべき」と主張した。
有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)も、連携による新たな取り組みの重要性に理解を示したが、「薬剤服用歴に基づき算定する重複投薬・相互作用等防止加算に比べて相当の負担になる」と指摘。「分かりやすい仕組みとし、薬剤師の負担を踏まえた点数設定にしてほしい」と求めた。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「一連の流れは理解する」としつつ、診療報酬での対応には「減薬を達成して初めて評価すべきもの」と強調。「各過程の評価は違うのではないか」と疑問視した。
後発品調剤体制加算をめぐっては、後発品の調剤数量割合が著しく低い薬局(20%以下)に対し、調剤基本料を2点減算する規定を設けたが、該当薬局がほとんどないことを踏まえ、幸野氏が「もっと割合を高めるべき。50%くらいに引き上げてもおかしくはない」と主張。
有澤氏は、後発品への変更不可や後発品を使いたくない患者が一定割合いることを挙げ、「薬剤師だけの努力ではどうにもならない部分がある」とし、要件見直しに当たっては慎重で適切な判断を求めた。