1日1回投与のJAK阻害薬「ウパダシチニブ」
アッヴィ合同会社は11月13日、1種類以上の生物学的製剤(bDMARD)で十分な効果が認められなかった活動性関節症性乾癬の成人患者を対象にしたSELECT-PsA2第3相試験における主要なデータを発表した。今回、投与12週時のACR達成率において、ウパダシチニブ群はいずれの用量群(15mgおよび30mg、1日1回投与)においても、プラセボ群と比較して、主要評価項目を達成したという。また、全ての重要な副次評価項目については、プラセボ群との比較で、ウパダシチニブの両用量群において有意な結果が認められた。
ウパダシチニブは、選択的かつ可逆的なJAK阻害薬で、複数の免疫関連炎症性疾患を対象に試験が行われている。2019年に中等度~重度の活動性関節リウマチの成人患者を対象に、米国食品医薬品局の承認を受けた。また、欧州連合のヒト用医薬品委員会から承認勧告を受領し、現在、欧州委員会による最終承認待ちとなっている。現在、1日1回投与の治療法として、関節症性乾癬、クローン病、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎および巨細胞性動脈炎を対象とするウパダシチニブの第3相試験が進行中であり、強直性脊椎炎の治療薬としての研究も進められている。
ウパダシチニブ投与群で、12週時の身体機能に改善が認められる
SELECT-PsA2試験は、活動性関節症性乾癬を有する成人患者さんを対象に、ウパダシチニブの有効性および安全性を検討する初めての試験。同試験における12週時のACR20達成率(ACR20を達成した患者の割合)は、プラセボ群の24%に対して、ウパダシチニブ15mg群および30mg群で、それぞれ57%および64%だった(p<0.0001)。また、12週時のACR50達成率はプラセボ群の5%に対して、ウパダシチニブ15mg群および30mg群では、それぞれ32%および38%だった(p<0.0001)。同時点でのACR70達成率は、プラセボ群の0.5%に対し、ウパダシチニブ15mg群および30mg群では、それぞれ9%と17%だった(p<0.0001)。さらに、ウパダシチニブを投与された患者において、健康評価質問票を用いて機能障害指数(HAQ-DI)を測定した12週時の身体機能に改善が認められた。
16週時では、ウパダシチニブによる皮膚症状の改善がみられ、乾癬の面積および重症度指数である75%の改善(PASI75)を達成した患者の割合は、プラセボ群の16%に対し、ウパダシチニブ15mg群および30mg群では、それぞれ52%および57%だった(p<0.0001)。24週時の最小疾患活動性(MDA)達成率は、プラセボ群の3%に対し、ウパダシチニブ15mg群および30mg群では、それぞれ25%および29%だった(p<0.0001)。
同試験におけるウパダシチニブの安全性プロファイルは、過去に報告された関節リウマチ患者を対象とした試験で認められたものと一致し、新たな安全性リスクは検出されなかった。24週までに重篤な感染症が発現した患者の割合は、プラセボ群の0.5%に対し、ウパダシチニブ15mg群および30mg群では、それぞれ0.5%および2.8%だった。ウパダシチニブ15mg群で、肺塞栓症が1件報告され、30mg群およびプラセボ群では報告されていない。また、ウパダシチニブ15mg群で主要な心血管系イベント(MACE)と判定された非致死性の有害事象(急性心筋梗塞)が1件認められた。30mg群およびプラセボ群では、MACEは認められなかった。プラセボ群の患者1例で死亡が報告された(自動車事故)。なお、今回得られた結果は、今後開催される医学学会および査読論文で発表される予定。
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