健康保険組合連合会など被用者保険関係5団体は8日、医療保険制度改革に向けた共同意見書を加藤勝信厚生労働相宛てに提出した。後発品の使用促進やフォーミュラリー導入などを通じて医療費の適正化を進めること、75歳以上の後期高齢者の窓口負担を2割に据え置くことなどを要望。政府の全世代型社会保障検討会議の取りまとめなどに盛り込んだ上で、給付と負担の見直しを含めた制度改革を実行するよう求めた。
高齢化により2022年には団塊世代が後期高齢者に入り始め、医療給付費が急増する一方、支え手である現役世代の人口急減が見込まれている。
こうした中、被用者保険関係5団体は、既に限界に達している現役世代や企業の拠出金を合わせた保険料負担がさらに加重になると問題意識を示し、給付と負担の見直しを含めた医療保険制度改革の実行を強く促した。
共同意見書は、▽医療費の適正化▽後期高齢者の窓口負担▽社会保障の持続可能性確保▽保険者機能の強化▽拠出金負担の軽減――の5項目で構成。
医療費の適正化については、薬価制度抜本改革の推進、後発品のさらなる使用促進、フォーミュラリーの導入推進、重複・多剤投与の是正や服薬管理の徹底などによる薬剤処方の適正化など、保険診療や診療報酬のあり方に踏み込んだ見直しに取り組むべきとした。
後期高齢者の窓口負担については「給付と負担にかかる世代間のアンバランスを是正し、公平性、納得性を高めることが重要」とし、低所得者に配慮しつつ、75歳以上の窓口負担を70~74歳と同様に原則2割に据え置くべきと提言した。
社会保障の持続性確保では、社会保障に関する歳入と歳出の両面についての検討を進めるべきとしつつ、被用者保険の保険料に負担転嫁すべきでないとした。
保険者機能の強化については、保険者が特性を生かして保険者機能を発揮できる制度体制を維持し、企業や労働組合との連携を含めて、保険者機能をより強化することを求めた。
拠出金負担の軽減では、高齢者の医療給付費に対する負担構造改革を早急に行うべきとし、現役並みの所得を持つ後期高齢者の公費負担を50%にすべきとした。
また、現役並み所得者の範囲を拡大する場合は、拠出金負担が生じないよう財政支援などの負担軽減措置も必要とした。