基礎的医薬品は、不採算品再算定や最低薬価となる前の薬価を下支えして、市場からの撤退を防ぐために指定され、▽収載25年以上で成分・銘柄の乖離率が全ての既収載品の平均乖離率以下▽ガイドラインに記載され、広く医療機関で使用されている――などの要件を満たした品目を対象としている。
これら要件の見直しについて、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「要件をなし崩しに緩和すると、基礎的医薬品と不採算品再算定の区別があいまいになる恐れがあり、慎重な対応が必要」との考えを示しつつ、「安定供給の問題が出ているセファゾリンのような品目では、薬価の面で何らかの対応を検討する必要がある」と述べた。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、最も販売額が高い銘柄に価格を集約する基礎的医薬品のシステムに言及。「患者にとって価格が安い後発品があるのに、高価な長期収載品に引きずられる必要があるのか。後発品を基礎的医薬品に指定し、長期収載品は市場から撤退すべき」との考えを示した。
一方、この日の部会では、効能追加に伴う効能変化再算定や用法用量変化再算定についても議論した。現在、これら再算定の対象品目は一定基準を満たしたものに限定しているが、松本氏は「再算定の対象外で、治療効果が既存薬と大きく変わらない品目の費用対効果が悪いのは明白。薬価のほか、最適使用推進ガイドラインも含めて何らかの対応をすべき」と求めた。
幸野氏も「何らかの対応が必要」としつつ、改定のタイミングについては「2年に一度ではなく、四半期に一度が良い」との考えを示した。これに対し、松本氏は「医療機関や製薬企業などの負担の観点から、何でも四半期再算定の対象とするのではなく、一定の基準が必要」とした。
上出厚志専門委員(アステラス製薬上席執行役員渉外部長)は、「これ以上のルール変更は効能追加後の薬価の予見性を著しく低下させるリスクがある。開発意欲を削ぐ結果にもなりかねない」と懸念を示した。