軽度認知障害の高齢女性71人を対象に、カマンベールチーズ摂取によるBDNFへの影響を評価
桜美林大学は11月6日、軽度認知障害の高齢者において、カマンベールチーズの摂取が、認知機能との関連が報告されている脳由来神経栄養因子(BDNF)を上昇させることを確認したと発表した。この研究は、同大学、東京都健康長寿医療センター、株式会社明治の研究グループによるもの。研究成果は「Journal of the American Medical Directors Association (JAMDA)」に掲載された。
東京都健康長寿医療センターのプレスリリースより
BDNFは、うつ病やアルツハイマー型認知症、記憶・学習などの認知機能との関連性が報告されている神経栄養因子のひとつ。加齢とともに認知症でも低下することが報告されている。今回、研究グループは、東京都在住の70歳以上の高齢女性689人のうち、軽度認知障害と判断された高齢女性71人を対象に、白カビ発酵チーズ(カマンベールチーズ)とカビ発酵していないプロセスチーズ(対照チーズ)の摂取によるBDNFへの影響を評価する試験を実施した。なお、軽度認知障害は、自覚的なもの忘れの訴えがあり、認知機能確認テスト(MMSE)の結果が23~26点の場合とした。
認知機能との関連が報告されているBDNF、カマンベールチーズの摂取で上昇
同研究では、対象者を市販の6Pカマンベールチーズを1日2ピース摂取する群、市販の6Pプロセスチーズを1日2ピース摂取する群に、無作為に分類。それぞれ3か月間摂取して、血中BDNF濃度を測定した。その後、3か月間のウォッシュアウトを経て、摂取する食品について群間で入れ替え同様のことを実施した。その結果、カマンベールチーズ摂取時には、対照チーズ摂取時と比較して、血中BDNF濃度の変化が有意に高い値を示したという。
今回の研究の結果から、軽度認知障害の高齢者において、カマンベールチーズ摂取によるBDNF上昇作用が示された。これまでもカマンベールチーズ摂取による認知症予防効果を示唆する基礎的な研究成果は報告されていたが、ヒトを対象とした試験の成果として、同研究成果は、世界で初めてカマンベールチーズ摂取による認知症予防の可能性を示唆するものとなった。
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