この日の総会で厚労省は、病棟薬剤業務実施加算の届出を行っている病院が全体の約2割程度で、病床数が多くなるにつれて届け出率が高くなっていること、約8割の施設が薬剤師不足を理由に同加算の届け出を行っていないことなどのデータを提示。
特に薬剤師が足りていないとされる中小病院に配慮する形で、2人以上の常勤薬剤師の配置が要件となっている診療報酬項目の要件緩和を提案した。
また、約5割のハイケアユニットで医薬品の投薬・注射状況の把握などの業務が実施されていたことを踏まえ、ハイケアユニット入院医療管理料を算定する病棟も算定対象に含める方向性を示した。
診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、薬局薬剤師の初任給が高いことなどを背景に、「薬局に勤務する薬剤師数と病院の薬剤師数は差が開くばかり」と指摘。「病院では慢性的な薬剤師不足が起きており、現実的には薬剤師が1人の病院も多い。薬剤管理指導料も含め、1人でも同じ業務を行った場合に加算が取れるようにしてほしい」と訴えた。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)も、大病院と中小病院が一律常勤2人以上になっている要件を問題視し、検討を求めた。
診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「中小病院は届け出数が少ないため、その点に配慮する必要がある。ハイケアユニットについても算定できるような検討が必要」とした。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、病院薬剤師不足の要因として、「病院薬剤師の業務を診療報酬上で評価しても、薬剤師に還元されないなどの理由により、病院の採用競争力が薬局より弱くなっている」と指摘した。
これに対して、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「薬学教育が6年制になり、1000万円近い奨学金を借りている学生からすれば、薬局と病院の初任給で平均数万円の差があれば薬局に行くのが当たり前。病院の採用努力をはるかに超えている」と指摘。厚労省に対して、「薬局の店舗数によって給与額にどれだけ差があるのか、データをぜひ出してもらいたい」と注文をつけた。