医師「説明した」9割、患者「説明受けた」6割で認識に乖離
サノフィ株式会社は10月30日、心筋梗塞の発症歴を有する高コレステロール血症患者100名、循環器内科で心筋梗塞患者を診察している循環器内科医師100名を対象に実施したオンライン意識調査結果を発表した。同調査は、脂質管理に関して、患者と医師との認識の相違やコミュニケーションの現状について理解を深める目的で実施。患者は2018年12月27日~2019年1月29日、医師は2019年1月18日~2019年2月6日の期間で実施した。
画像はリリースより
調査の結果、心筋梗塞を発症した患者の70~80%が、発症により不安を抱いたが、医師が実際に不安を訴えたとレポートした患者の割合は約30%だった。不安の内容として最も多かったのは「また発症するのではないか」で、心筋梗塞発症の回数が多い患者では、「死ぬ可能性があるのではないか」という不安が高くなる傾向だった。
医師の心筋梗塞に関する患者への説明については、説明項目全体の80~90%の割合で、全ての患者に説明しているが、患者側での認識とは乖離が見られた。例えば、「心筋梗塞の再発を起こす可能性があること」では、医師の92%が説明したと回答しているが、患者で説明を受けたと認識しているのは57%だった。また、「心筋梗塞の再発予防のために薬を使用し続けることが重要であること」に関しては、医師の93%が説明をしたと回答しているが、その説明を受けたと回答した患者は63%だった。
LDL-C目標値は、医師「患者は把握している」6割も把握している患者は2割
高コレステロール血症に関する説明についても患者と医師の間には認識の差が見られた。「高コレステロール血症治療のためのLDLコレステロール値の治療目標値について」の説明は、92%の医師が行ったと回答した一方で、説明を受けたと認識した患者は31%だった。「高コレステロール血症の治療のために、LDLコレステロール値を下げることが重要であること」については、医師の92%が説明を行ったと回答したが、説明を受けたと回答した患者は49%に留まった。「高コレステロール血症の管理をすることが、心筋梗塞、脳梗塞の再発を防ぐのに重要であること」については、89%の医師が説明を行ったと回答し、58%の患者が説明を受けたと回答した。
LDLコレステロール値に対する認識については、目標値とするLDLコレステロールに関して、医師の約60%が「患者は把握している」と答えた一方で、自分のLDLコレステロール目標値を把握していると回答した患者は約20%となった。
今回の調査結果から、患者と医師の間には、再発といった不安への認識、心筋梗塞に関する説明内容、さらには高コレステロール血症に必要なLDLコレステロール治療目標値などにおいてギャップがあることが浮き彫りになった。同社は「より効果的なコミュニケーションの必要性が示唆される調査結果となった」と述べている。
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