臍帯血の分析と子の成長時の診察結果から
米国立衛生研究所(NIH)は、妊娠中のアセトアミノフェンの使用により、出産した子どもが注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム(ASD)を発症するリスクが高まる可能性を示した研究成果を公表した。この研究は、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のXiaobing Wang医師らの研究グループによるもの。研究成果は、「JAMA Psychiatry」に掲載されている。
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研究グループは、米ボストン市の妊婦と子どもの健康調査を目的に1998年から開始した「Boston Birth Cohort」という研究のデータを活用。出生時に収集された996人分の臍帯血血漿サンプルにつき、3つの臍帯アセトアミノフェン代謝産物(変化しないアセトアミノフェン、アセトアミノフェングルクロニド、3- [ N-アセチル-L-システイン-S-yl]- アセトアミノフェン)の含有量を測定した。これらの子どもが8~9歳に成長した時点でのデータを再調査したところ、25.8%でADHDと診断されていたことがわかった。また、6.6%はASDで、4.2%はADHDとASDの両方と診断されていた。
また、アセトアミノフェンとその代謝産物の量に応じて3つのグループにわけ、一番低値のグループと2番目に少ないグループを比較したところ、2番目のグループは、ADHD発症リスクが2.26倍高いことが判明。一番高値のグループでは、2.86倍発症リスクが高いとわかった。同様に、ASD発症リスクは、2番目のグループで2.14倍、一番高値のグループでは3.62倍高かった。
今回得られた結果について研究グループは、継続的な調査を続けていく必要があると結論づけている。また、米FDAでは妊娠期ではいかなる鎮痛薬の使用にも注意をするよう呼び掛けている。