■基本料設定「限界」の声も
地域支援体制加算は、常勤薬剤師1人当たり年間で▽夜間・休日等の対応400回▽重複投薬・相互作用等防止加算等40回▽服用薬剤調整支援料1回▽単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理12回▽服薬情報提供料60回▽麻薬指導管理加算10回▽かかりつけ薬剤師指導料等40回▽外来服薬支援料12回――の実績を全てクリアすることが要件となっている。
ただ、調剤基本料1を算定している薬局では、▽麻薬小売業者の免許を受けている▽在宅患者薬剤管理の実績を有している▽かかりつけ薬剤師指導料等にかかる届け出を行っている――の基準を全て満たしていれば、これらの実績は適用されない。
調剤基本料1を算定している薬局には算定しやすい点数と言えるが、この日の総会で厚労省が示した資料では、処方箋の集中率が90%以上の薬局でも19%が同加算の届け出を行っていたことが分かった。
支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を評価するための点数であり、調剤基本料1を算定しているかといった評価よりも、薬局の実績をもって評価すべき」と主張。
調剤基本料1以外の薬局に課される八つの実績要件については「基本的に維持すべき」としつつ、「要件の緩和を議論するのであれば、どの程度の実績があれば地域医療をカバーできるのか、エビデンスを見ながらすべき」とクギを刺した。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、2割の薬局が算定できていることを問題視。「集中率90%以上の薬局が地域に貢献しているとは想定し難い」と要件見直しを要望。「調剤基本料1を算定している薬局であっても、KPIで設定されている内容で実績を評価することが必要」との考えを示した。
診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)も「薬局のかかりつけ機能を評価するもので、集中率だけで判断すべきではない」としつつ、「都市部と地方で事情が異なる」と指摘。「薬局が持つ機能を踏まえた慎重な検討が必要」との考えを示した。
この日の総会では調剤基本料についても議論した。医療経済実態調査や検証調査などの結果を踏まえて対応を検討する方向で一致したが、有澤委員は「国民に分かりやすいものにすべきとの指摘もある。特例部分をこれ以上設けることは避けるべき」と主張。
幸野委員は、「対物業務から対人業務へのシフトという観点から、処方箋受付回数、集中率で適正化を図る手法が限界に来ているのではないか」と指摘。「かかりつけ機能や地域への貢献実績によって差別化していく報酬体系を検討すべき」とした。
調剤料をめぐっては、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)が「病院薬剤師の業務は非常に高度化しており、より院内で活躍できるような報酬を検討すべき」と指摘。有澤委員も「病院薬剤師による高度な業務を適切に評価するため、さらなる検討をお願いしたい」と求めた。