政府の経済財政諮問会議は28日、財政健全化の強化に向け、社会保障制度改革について議論した。民間議員は、団塊の世代が後期高齢者となる2022年に備え、社会保障分野で取り組むべき改革分野を提示。その中で、20年度診療報酬改定に向けては、対物業務から対人業務中心の調剤報酬への転換、後発品の使用目標では数量ベースに限定せず、より質の高い目標を検討することなどを打ち出した。
民間議員が示した改革案は、▽イノベーティブな医薬品産業への転換・診療報酬改定▽地域医療構想の実現▽データヘルス改革▽保険者インセンティブの強化▽介護現場の生産性向上▽40~50歳代の生活習慣病等の予防への重点的取り組み――の6項目。
イノベーティブな医薬品産業への転換・診療報酬改定では、調剤報酬に言及。投与日数や剤数に応じて調剤料が増える算定方式の見直しや、お薬手帳の管理など必ずしも効果が明らかでない薬学管理料の見直しなど、患者のQOL向上に向けて対物業務から対人業務中心の調剤報酬に適正化すべきとした。
また、後発品については使用量80%の目標達成が視野に入っていることを評価した上で、数量ベースだけでなく、金額ベースでの達成度合いの検証、先発品のない後発品占有率の検証を進め、質を高めた新たな目標の検討を始めるべきとした。
また、入院時を除き、スイッチOTC薬を保険給付の対象外にすべきとの考えも示した。
地域医療構想の実現については、「進捗が十分ではない」とし、構想実現の中核となる公立・公的病院から病床再編を進めるべきと指摘。病床機能転換、病床の整理・合理化を積極的に図る民間病院には、3年程度に限定して大胆に財政支援すべきとした。
厚生労働省に対して、医療療養病床から介護医療院への移行に伴う市町村の介護保険料負担の実態と見通しを把握し、各市町村の実情に応じ支援できる仕組みの構築を求めた。
民間議員からは「一通り記したのは、これらが待ったなしの課題だからであり、この2、3年でどれだけ実行できるかが勝負」と述べ、特に地域医療構想に関しては「実現が大事で、国民のQOLを高める良いメカニズムとなる」との考えを示した。