3大バイオバンクと診療機関併設型バイオバンク4機関をネットワーク化
東北大学は10月28日、日本のバイオバンクで保有する試料・情報を一括して検索可能な「バイオバンク横断検索システム」を開発し、その運用を開始したと発表した。このシステムは、日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム医療実現推進プラットフォーム事業の研究開発課題「ゲノム医療実現推進のためのバイオバンク利活用促進に向けたバイオバンク・ネットワーク構築と運用支援に関する研究開発」(研究開発代表者:東北大学東北メディカル・メガバンク機構の荻島創一教授)により開発された。
日本におけるゲノム医療実現推進の基盤となるバイオバンク利活用促進のため、3大バイオバンクに加え中核的な大学病院等の診療機関併設型バイオバンク4機関をネットワーク化し、試料・情報のバイオバンク横断検索システムを構築(プロトタイプの高度化)。これにより、バイオバンクが保有する生体試料・情報の横断的な利活用を促進させることを目標としている。
約65万検体の試料や約20万件のゲノム情報等の解析情報の有無を公開・検索可能に
同システムでの検索対象は、日本の3大バイオバンクであるバイオバンク・ジャパン(BBJ)、東北メディカル・メガバンク計画(TMM)、ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)と、中核的な大学病院等の診療機関併設型バイオバンクである京都大学医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンター(KUB)、東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンター(TMDU-BRC)、筑波大学附属病院つくばヒト組織バイオバンクセンター(THB)、岡山大学病院バイオバンク(OBB)が保有する試料・情報。同システムでは、これら7機関より総計約30万人分に相当する、約65万検体の試料や約20万件のゲノム情報等の解析情報の有無を公開し、検索可能にしている。
国内のバイオバンクの連携により、国レベルで数十万を超える規模で試料・情報の横断的な検索が可能なバイオバンク・ネットワークが形成された。今後、試料の品質管理情報等も検索可能にするなど、バイオバンク横断検索システムの高度化を進めていく予定。アカデミアや産業界を含む利用者が同システムを利用することで、ネットワークに参画するバイオバンクの試料・情報を、ワンストップで入手するためのコーディネート機能の実現を目指す、と研究グループは述べている。
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・東北大学 プレスリリース