「食べる順番」に重点をおいた食事指導を従来の指導と比較
関西電力医学研究所は10月25日、保健指導において「食べる順番」に重点をおいた食事指導が、継続して実践可能かつ減量効果に優れた指導であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同研究所/関西電力病院の清野裕所長(総長)、同研究所の矢部大介副所長らと、株式会社関西メディカルネット、花王株式会社ほかとの共同研究によるもの。研究成果は、国際学術雑誌「Journal of Diabetes and Its Complications」オンライン版にて公開された。
画像はリリースより
近年、食後高血糖や体重増加を是正する方法として、「食べる順番」に配慮した食事療法が注目されている。今回の研究では、摂取エネルギ―量や栄養バランスに関する一般的な内容に加えて、「食べる順番」に重点をおいた食事指導を行った。具体的には、食事開始後、少なくとも5分間は、食物繊維を含む食品(サラダ等)、タンパク質、脂質を含む食品(魚料理など)を食べ、その後、炭水化物を含む食品(米飯など)を、食物繊維を含む食品やたんぱく質や脂質を含む食品と一緒に食べてもらうという指導を行った。また、日々の生活の中で食べる順番に配慮した食事を実践するため、ランチョンマットと砂時計を貸与したという。
継続して実践可能かつ減量効果に優れた指導であることを証明
この研究では、関西電力保険組合に加入し、所定の事業所に勤務する従業員の中で、健診結果から糖尿病発症のリスクが高く、生活習慣改善に向けた保健指導が必要とされる人を対象に、従来の食事指導と比較して、「食べる順番」に重点をおいた食事指導、「栄養バランス」に重点をおいた食事指導の有効性や遵守率を検証するため、ランダム化比較試験を実施した。
被験者は、従来群11名、食べる順番群18名、栄養バランス群13名。2016年6月の1か月間に勤務する事業所において、問診ならびに身体測定、採血、食事摂取量の評価を受けるとともに、個別に生活習慣改善に向けた保健指導を受け、食事と運動に関する行動計画をそれぞれ1つずつ決めてもらった。そして保健指導終了後、被験者は月1回、メールにて行動計画の遵守状況を報告。保健指導6か月後の2016年12月の1か月間に、全被験者は再び勤務する事業所にて、問診ならびに身体測定、採血、食事摂取量の評価を受けた。
保健指導後6か月間の体重の変化量は、食べる順番群、栄養バランス群共に従来群に比して、約1.5kg減少。1日の食事摂取量も、食べる順番群、栄養バランス群共に従来群に比べて、200kcal/日程度減少した。食事に関する行動計画遵守に関する点数(5点満点)は、食べる順番群は従来群と同等であったが、栄養バランス群は2群に比べ有意に低い値であったという。なお、空腹時血糖値やHbA1cはいずれの群においても変化量がわずかで明らかな群間差を認めなかった。
今回の研究成果により、保健指導において「食べる順番」に重点をおいた食事指導が、継続して実践可能かつ減量効果に優れた指導であることが明らかにされたと言える。研究グループは、「本研究から、保健指導において「食べる順番」に重点をおいた食事指導が、継続して実践可能かつ減量効果に優れた指導であることを明らかにすることができた」と、述べている。
▼関連リンク
・関西電力医学研究所 新着情報