樽見氏は、改正薬機法について「承認審査の合理化により、優れた医薬品が早く日本の市場に導入できる内容と同時に、患者さんのもとにいかに適切に届けるかということがセットになっている」と指摘。「それらを全体として担保するようなコンプライアンスの制度をしっかり作るという意味では、筋が一本通った法案という印象」との見解を述べた。
20年度の薬価制度改革に向けては、18年度の薬価制度の抜本改革に言及。新薬創出等加算の要件や効能追加による市場拡大再算定、イノベーションの評価見直し、中間年改定などの内容が決まったことを説明した上で、「18年度改定のような全般にわたっての抜本改革というよりも、18年に決めた枠組みをどう評価し、修正していくような考え方になる」との見通しを述べた。
また樽見氏は、「医薬品に対する費用負担が医療保険制度の給付と負担を考える上で、非常に大きな要素になるのは間違いない」と強調。今秋から新設された全世代型社会保障検討会議でも「まず年金制度と介護保険制度の改正に向け、来年1~2月頃に議論とになるが、その後は6月の骨太方針作成に向け、医療保険の給付と負担の見直しにどのように取り組んでいくのかが課題になってくる」と述べた。
こうしたスケジュールを踏まえ、樽見氏は「薬局でも、薬機法で明記される地域連携薬局、専門医療機関連携薬局でのかかりつけ機能、患者さんのための機能をいかにアピールし、評価される形にしていくかが課題になっていくだろう」と語った。
5月に成立した健康保険法で、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認の導入が21年3月から可能になることにも言及。「投薬、特定健診などのデータはシステムを通じて本人が同意すれば、医療機関や薬局でも見られるようになる」と指摘。「特定健診データなどを踏まえ、薬局で健康や生活習慣などの相談を気楽に行えるようなデータ活用の方法もある。専門的な見地から取り扱い、薬局で患者さんの健康をサポートをする機能が重要になってくる」との考えを示した。