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Nirsevimab、RSウイルス感染症予防評価試験を世界に先駆けて日本で開始-英AZら

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2019年10月16日 AM11:45

RSウイルスに起因する重篤な感染症への受動免疫法として

英アストラゼネカ社と仏サノフィ社は10月11日、(開発品コード:MEDI8897)について、日本における主要第3相および第2/3相臨床試験を開始したことを発表した。同剤は、全ての乳幼児を対象に呼吸器合胞体ウイルス()に起因する重篤な感染症に対する受動免疫法として検討されている。現在、日本でRSウイルスの流行が始まっていることから、他国に先駆けて感染症予防評価試験を開始した。

ほぼ全ての乳幼児が、2歳までにRSウイルスに感染するとされている。RSウイルス感染症は、気管支炎や肺炎、細気管支炎などの重篤な下気道感染(LRTI)を引き起こすことがあり、乳児では特に重篤化する可能性がある。症状は、鼻づまり、咳、発熱、目に見てわかる呼吸困難などで、RSウイルス感染症により入院した乳幼児の80%以上はRSウイルス感染症以外に健康上の問題はないとされている。

Nirsevimabは、RSウイルス感染に起因するLRTIの予防を目的として開発中の、半減期延長型RSウイルスFモノクローナル抗体。同剤は、RSウイルス流行シーズンを初めて迎える全ての乳幼児と2度目のRSウイルス流行シーズンを迎える先天性心疾患または慢性肺疾患を有する乳幼児を対象に開発中だ。

RSウイルス流行シーズンでの必要投与回数は1回、日本小児科学会の要望も

Nirsevimabは受動免疫を介して作用する。受動免疫は、予防効果の発現に数週間かかることのある能動免疫と異なり、抗体自体を投与するため、即時に予防効果を発現する。一般的に、5か月のRSウイルス流行シーズンにおけるnirsevimabの必要投与回数は1回だ。一方で、現行の抗ウイルス薬は投与対象が高リスクの小児に限られており、また、予防期間が1か月であることから、RSウイルス流行シーズンで5回の投与が必要だ。

日本では、国立研究開発法人日本医療研究開発機構()が、国内における革新的な医薬品・医療機器の創出を目的とした臨床研究や治験の更なる活性化を目的とした研究を推進する「臨床研究・治験推進研究事業」の一環である「小児領域における新薬開発促進のための医薬品選定等に関する研究」で、nirsevimabを「優先的に開発すべき医薬品」とし、日本小児科学会が同剤の迅速な開発を要望していた。

医療介入が必要なLRTIの予防を検討

主要第3相(MELODY)試験では、RSウイルスの流行シーズンを初めて迎えた、在胎36週以上の健康な乳幼児を対象に、RSウイルス感染が確認され医療介入が必要なLRTIをnirsevimabが予防するかどうかを検討する。主要評価項目は、RSウイルス感染が確認された医療介入が必要なLRTIの発現率。主要第2/3相(MEDLEY)試験は、無作為化二重盲検パリビズマブ対照試験で、1度目または2度目のRSウイルス流行シーズン(それぞれシーズン1、シーズン2)を迎える、パリビズマブの投与対象となる高リスクの乳幼児(早産児、慢性肺疾患または先天性心疾患を有する乳幼児)を対象に、パリビズマブに対するnirsevimabの安全性、薬物動態、抗薬物抗体反応、およびRSウイルス感染が確認され医療介入が必要なLRTIの発現率を記述的に評価する。安全性および忍容性の主要評価項目は、投与後360日に認められたすべての有害事象、および重篤な有害事象の発現により評価する。両試験の結果は、2023年中に得られる予定だとしている。

2017年3月、アストラゼネカとサノフィパスツールは、nirsevimabを共同開発、商業化する契約を発表。契約に基づき、アストラゼネカは初回の薬事承認までの全ての開発業務、および製造を主導し、サノフィパスツールは商業化活動を主導する。同剤は2019年2月、米国食品医薬品局より画期的治療薬指定を、欧州医薬品庁よりPRIority MEdicines(PRIME)指定を受けている。現時点で同剤を薬事承認している国はない。

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