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ラニチジン、自主回収相次ぐ-発癌性検出、国内製薬11社で

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2019年10月09日 AM10:45

(GSK)、沢井製薬、東和薬品など製薬企業11社は、抗潰瘍薬「」(製品名:)の自主回収を相次いで発表した。海外でラニチジンと同剤の原薬から発癌性物質である微量のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出され、欧米規制当局が安全性評価を開始したことを受け、国内でもGSKと日医工、沢井製薬、鶴原製薬、ニプロが予防的措置として自主回収を発表。後発品メーカー6社も管理指数を超えたNDMAが検出されたとして、自主回収を決定した。これまでに重篤な健康被害が発生したとの報告はないとしている。

表:ラニチジンの自主回収を発表した企業

ラニチジンは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などを適応症に持つH2受容体拮抗剤である。国内では、GSKが先発品の「ザンタック」を販売しているほか、複数の製薬企業が後発品のラニチジンを販売していた。

ラニチジンと同剤の原薬をめぐっては、欧米の規制当局が現在、安全性評価を実施している。米FDAは現時点で服用をやめることは求めていないものの、服用継続を希望しない患者に対しては、医療従事者に相談するよう通達している。

欧米当局の動向を受け、国内でも厚生労働省が9月、ラニチジン、または同剤と類似の化学構造を持つ「ニザチジン」(先発品名:アシノン)を販売する製薬企業13社に対し、NDMA混入の有無を分析するよう事務連絡を発出しており、ラニチジンについては、分析結果が判明するまで製品出荷を行わないよう求めていた。

こうした中、GSKは、同剤を製造委託している海外工場から販売を中断するよう欧州医薬品品質部門から通告されたとの情報を入手したことから、予防的措置として9月に「クラス2」の自主回収を決定した。

また、後発品を販売する日医工と沢井製薬、鶴原製薬、ニプロも、予防的措置から「クラス1」の自主回収に踏み切り、回収した製剤と原薬について混入があるかどうかを調べ、分析結果が判明後に出荷を再開するとしている。

その他の企業も混入の調査を行い、マイラン製薬、陽進堂、小林化工、東和薬品、、武田テバファーマの6社が管理指数を超えたNDMAが検出されたと発表。

先発品メーカーを含め、ラニチジンを保有する11社が相次いで自主回収を実施する形となった。

一方、ゼリア新薬、ニプロ、大原薬品などが販売している類似薬のニザチジンについては、出荷停止の対象外としている。

 

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