直腸がんの局所再発患者が手術で根治可能か専門医に相談
国立がん研究センター東病院は10月3日、直腸がんが局所再発した患者に対して手術で根治できる可能性があるか、国内の医師からの問い合わせに全国5施設の専門医がウェブで応じる相談システム「CONNECT-LR(Consultation system to bring the Next Chance for the Treatment of Locally recurrent Rectal cancer:コネクトエルアール)」を開発し、2019年8月20日より運用を開始したと発表した。
直腸がんの根治手術後に初めて再発する部位の頻度は、骨盤内に再発する局所(切除した直腸の付近)が9.6%、肺7.5%、肝臓7.3%であり、局所再発の発生頻度が高いことが特徴だ。直腸がんの局所再発は、手術による完全切除(によって根治が期待できるため、日本と欧米のガイドラインでは完全切除が可能な場合、手術による切除が推奨されている。しかし、直腸がんの局所再発の診断・治療は難しく、特に切除可否の判断は、担当医の経験や知識、技量によることが大きいため、切除不能と判断され根治の機会を得られないケースもある。また、高い専門性を持った医師は限られているため、診断・治療の判断に迷った際、直接専門医に相談するのは簡単ではない。同研究では、直腸がんが局所再発した多くの患者に対して完全切除による根治を目指せるよう、担当の医師が自身の居る場所にとらわれずに容易に相談できる環境を構築した。
国内医師は無料、CT/MRI画像のセキュアな送受信可能
「CONNECT-LR」は、株式会社ファインデックスの製品を活用した、ウェブを用いた相談システムで、国内の医師は誰でも無料で利用可能だ。システム登録申請後に同システムを通じて、利用者の医師は専門医に対し、直腸がんの局所再発の診断・治療・手術可能施設について相談できる。各相談内容に対してコンサルタントは、原則1週間以内に返答。システム専用のメール送受信機能を利用するため、CTやMRI等の画像の送受信が、セキュアな環境で安全かつ容易に行うことができる。専門医は、国がん東病院大腸外科の伊藤雅昭医師、塚田祐一郎医師、兵庫医科大学病院下部消化管外科の池田正孝医師、山形県立中央病院外科の須藤剛医師、久留米大学病院消化器病センターの藤田文彦医師、関西医科大学附属病院消化管外科の関本貢嗣医師。
直腸がんの局所再発は手術の難易度が高いため、切除可能な病変であってもかかりつけの病院では切除が困難である場合、専門医がいる病院へ紹介される場合が多くある。同システムが国内で広く利用されることで、より多くの対象となる患者が根治手術を受けられることが期待されるとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース