ガイドラインの定義で、重症と判断されるぜんそく患者170名に着目し分析
アストラゼネカ株式会社は10月3日、気管支ぜんそく患者を取り巻く現状やぜんそく治療の実態を明らかにすることを目的として、全国の気管支ぜんそく患者3,000名を対象に、近畿大学病院 病院長 東田有智氏監修のもと、大規模調査を実施。8月9日に発表した第一弾、9月12日に発表された第二弾の調査結果に続く第三弾として、今回は「重症ぜんそく患者さんの現状」編の結果を発表した。
画像はリリースより
今回の調査では、調査対象の3,000名のうち、ガイドラインの定義により重症と判断されるぜんそく患者(コントロールに高用量吸入ステロイド薬および長時間作用性β2刺激薬、加えてロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤、長時間作用性抗コリン薬、経口ステロイド薬、IgEやIL-5を標的とした生物学的製剤の投与を要するぜんそく、またはこれらの治療でもコントロール不能なぜんそくを持つ患者、以下、重症ぜんそく患者)170名に着目し分析。また、前年発表した「重症の気管支ぜんそく患者さんと治療に携わる医師への調査(2018年2月 アストラゼネカ実施)」の結果との比較も分析している。
専門医へ紹介された経験がない重症ぜんそく患者は6割以上、新薬の認知度も低く
調査の結果、重症ぜんそく患者は、ガイドラインの定義上でコントロール不十分または不良と判断される状態にもかかわらず、約半数の患者が、自分のぜんそくは「症状がコントロールされた状態だと思う」(47.1%)と回答した(前年調査での同回答は64.1%)。また、約4割の患者が「ぜんそくのない人と同じ日常生活を送れている」(41.8%)と回答(前年調査での同回答は58.0%)。その一方、約半数がぜんそくの発作で救急搬送や救急受診を経験(50.6%)している。
現在の治療内容や処方内容が3年以上経過している重症ぜんそく患者は約半数(53.6%)。また、6割以上の重症ぜんそく患者は、専門医の紹介を受けたことがない(64.1%)と回答している。
さらに、重症ぜんそく患者が治療に希望することは、「新しい治療法や薬などの選択肢についてメリット、デメリットを知りたい」(47.1%)、「現在の薬や治療内容が自分にあっているか知りたい」(45.9%)と回答。また、重症ぜんそく患者の経口ステロイド薬(OCS)の認知度は約8割(82.4%)、生物学的製剤の認知度は約3割(29.4%)で、ともに前年調査での同回答と有意差なし(それぞれ76.0%、29.0%)であったという。
今回の調査を監修した東田氏は、調査結果を受け、「今回の調査結果では、コントロール不十分または不良の重症ぜんそく患者のうち、専門医へ紹介された経験がない人が多数いることがわかった。また、約半数の患者さんが、新しい治療法や薬のプラス面・マイナス面を知りたい、現在の治療法が自分に合っているか知りたいという、積極的な姿勢がうかがえる一方で、新しい治療薬の一つである生物学的製剤についての認知度は、前年調査との比較で大きな変化はなかった。現在の治療や症状コントロールの状態を正しく把握し、患者が自分の症状に最も適した治療を受け将来のリスクを回避できるよう、医師も患者も定期診察などのコミュニケーション機会を有効に活用してもらいたいと願う」と、述べている。
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