3団体は、薬局が薬物治療と地域のヘルスケアを担うインフラとして貢献するとの理念を共有し、その実現に向けて「薬局団体連絡協議会」のもとに結集した。協議会の目的について、シンポジウムで大会長を務めた山村氏は、「昨今の薬局や医薬分業は、患者や生活者の期待に十分に応えられていないのではないかという大変厳しい指摘がある。それに対して、薬局団体が一つのテーブルに座ることで、国民の声に真摯に向き合い、対応していきたい」と説明した
その上で、山村氏は「われわれ薬局業界は、大きく変わらなくてはいけないと多くの薬剤師や薬局経営者も感じているが、どのように変われば良いのかというビジョンが思い描かれていない点が問題」と指摘。
「3団体は、もう後がないという覚悟でシンポジウムに臨んでいる。無理、不可能などと諦めず、信じて動けば変わる。協議会が起点となって、日本の薬局に何かが始まることを期待している」と強い決意を語った。
シンポジウムでは、「国民のための薬局のあり方―連携」をテーマに掲げ、改めて薬局や医薬分業に関する現状の問題点を洗い出すと共に、国民のための薬局のあるべき姿の具現化に向け議論を行い、最後に共同宣言を発表。
「国民のための薬局を実現する!」と打ち出し、▽薬物治療の安全、安心の提供体制を構築する▽地域住民の健康の拠り所となる薬局を目指す▽国民の信頼を得る薬局の品質を向上させる――ことを宣言した。
■「本当に最後のチャンス」-田宮薬剤管理官が警鐘
シンポジウムでは、厚生労働省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官が講演し、2015年当時に「患者のための薬局ビジョン」の策定に関わったことに言及。「当時も医薬分業に対する厳しい指摘を受けており、ピンチをチャンスに変えて、本当に患者本位の医薬分業に向けて薬局薬剤師が変わらなくてはいけないと何度も申し上げたことを覚えている。その時に、『もうラストチャンスだ』と話したが、チャンスはそれほど長い期間与えられるものではない。残念ながら4年経った現在も、国民や患者から見て、医薬分業が患者本位の形に変革できていない」と厳しい現状認識を示した。
その上で、「医薬品医療機器等法改正法案の中で、調剤後のフォローアップについての法制化や薬局機能の見える化などの内容も含めて議論されている。これを追い風にして、本当に変わる最後のチャンス。時間はないだろう」と警鐘を鳴らした。