わずか6つの質問項目から簡易にフレイルを評価
九州大学は9月26日、6つの質問項目から構成される、妥当性・信頼性の高い簡易フレイルチェックシートを作成したと発表した。これは、同大キャンパスライフ・健康支援センターおよび大学院人間環境学府の熊谷秋三教授、大学院人間環境学府博士課程3年の陳斯氏らの研究グループによるもの。研究成果は「Journal of the American Medical Directors Association」に掲載されている。
画像はリリースより
フレイルとは、年齢を重ねるとともに心や身体の余力が衰え、ストレスに対して抵抗力が弱まっている状態。将来の認知機能低下、認知症発症および要支援・介護認定のリスク因子であることが報告されていることから、簡易フレイルチェックシートの開発が課題となっていた。研究グループは、福岡県糸島市、住友理工株式会社(糸島市)と社会連携事業「糸島フレイル研究」を行っており、このチェックシートはその一環で作成された。
地域在住高齢者のフレイル予防事業の推進に期待
チェックシートは、日本人前期高齢者(65~74歳)のために作成されたもので、疲労感・体重減少・活動量低下を含む5つの項目を6つの質問で評価する。体重減少は、過去6か月間で2~3kg以上意図しない減量が起こっていないかが評価の基準になるという。5項目は、日本の介護予防の領域で広く利用されている既存項目を選び、身体的フレイルの項目と一致性が高い質問項目を最終的に決定した。いずれも、はい/いいえで回答する。
このチェックシートは、同研究グループがまとめた「身体的フレイルの操作的定義」(Chen,S.,Kumagai,S.,et al.:BMC Geriatrics, 15:2019)を用いて、妥当性・信頼性を検証。良好な信頼性(再現性)と共に、各項目に対応する客観的な測定値とも相関することから、高い構造的妥当性が示された。また、チェック該当項目の数が3つの場合が、日本人の地域在住高齢者におけるフレイルスクリーニングのカットオフ値となることも実証されているという。
日本ではフレイル予防を市町村の高齢者介護支援事業の一つとして位置づけ、令和6年度から全国一斉で実施されるフレイルチェック事業とその予防に取り組むことが決定しており、そこでの有効利用が期待されている。
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