■14日以内の適正化要求も
中央社会保険医療協議会総会は25日、2020年度調剤報酬改定に関する検討をスタートさせ、注目されている調剤料の見直しをめぐって議論した。内服薬の調剤料に関して、診療側の医師委員、支払側委員の両側から日数に応じた点数設定を見直すべきとの意見が相次いだが、診療側で薬剤師代表の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、これまで議論の対象になっていない14日以内の調剤料のあり方を議論することに一定の理解を示しつつ、「急激な見直しで保険薬局の経営状況に大きな影響を与えないよう、段階的かつ慎重な対応が不可欠」とクギを刺した。
この日の総会では、来年度の調剤報酬改定に向け、厚生労働省が薬局・薬剤師に関する基本データ、前回18年度改定の内容や調剤報酬を取り巻く現状、課題などを説明。その上で、調剤業務の内容を踏まえ、調剤料の見直しと対物業務から対人業務への転換を論点として示した。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、内服薬の調剤料について、「処方日数が増加するほど高い点数となるが、評価が適切かどうかは今後しっかりと検討すべき。重要なのは、患者の病状に合わせた適切な処方で、日数に応じた基本料や加算は見直すべき」と訴えた。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「処方日数に応じた点数設計は見直すべき」と主張。4月に厚労省が発出した「調剤業務のあり方について」の通知によって、「ピッキングや一包化は薬剤師以外でも実施できるようになり、薬剤師業務が軽減されたことも見直す理由の一つとなる」と同調した。
宮近清文委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)も、「内服薬全体の約45%が14日以下の投与日数であることを踏まえると、今回の改定では14日以内の部分についても、適正化する方向で見直しを検討していく余地がある」と指摘した。
これら調剤料の引き下げを求める多くの意見に対し、有澤委員は「投与日数は、薬局・薬剤師側がコントロールするものでなく、患者の需要状況や処方医の診療方針などによって異なる」と主張。
既に15日以上の調剤日数については、過去の中医協で見直し議論が行われ、点数引き下げが行われているものの、14日以内の部分については議論の対象になっていないため、「報酬体系の見直しは取り組むべき」と理解を示した。
ただ、大幅な調剤料の引き下げが行われた場合、薬局によっては経営に大きな影響が出てくることも想定されることから、「段階的かつ慎重な対応が不可欠」と理解を求めた。
一方、城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「服薬指導の内容を整理し、明確な制度設計をお願いしたい。かかりつけ薬剤師指導料の要件として、臨床現場の経験を組み込んだ方が良いかかりつけ薬剤師になるのではないか」と提案。
今村聡委員(日本医師会副会長)は「薬学教育が非常に高度化しているが、分包をチェックする単純作業など、薬剤師が培った知識を活用できないのはもったいない。薬剤師を活用できる調剤報酬を考えてほしい」と要望した。