政府の「全世代型社会保障検討会議」の初会合が20日に開かれ、今後の検討事項や進め方について意見交換した。有識者からは、高齢者の健康寿命を伸ばして支え手を増やすこと、社会保障の提供者である自治体の縦割りを解消して新しい地域共生の形を構築することを求める意見などが上がった。年内に中間報告を示した上で、来夏をメドに議論を取りまとめる予定。
同会議は首相を議長に、厚生労働相などの関係大臣と有識者で構成し、少子高齢化の進行やライフスタイルの多様化を踏まえ、「誰もが安心できる社会保障制度の構築」について検討することとしている。
初会合では、給付と負担の現状、将来人口の予測、高齢者の就業率など、社会保障全般に関する現在の状況について説明が行われた後、会議で検討すべき事項や進め方などについて意見交換した。
有識者からは、「給付と負担の見直しについては、国民、保険者、事業者でそれぞれの考えがあり、コンセンサスを得るのは容易ではない。医療や介護のあるべき姿を示す中で、給付と負担のあり方を考えることが重要」「人生における大きなリスクを心配しないで済むような社会保障の確立が重要で、そのためにはメリハリの効いた医療改革が必要。予防医療を充実させて健康寿命を伸ばすことも、高齢者の就労を促す攻めの社会保障改革だ」などの意見が出た。
また、「社会保障はそのほとんどを地方公共団体が実施しており、予防・健康づくりは自治体が注力すべき業務だ。制度の縦割りを超えて、地域で支える新しい形の地域共生が必要」との声も上がった。
安倍晋三首相は、「全世代型社会保障に向けた改革は内閣にとって最大のチャレンジで、これまでの社会保障システムの改善にとどまらず、システム自体の改革を進めることが不可欠だ。関係大臣の総力を挙げて具体的検討を始めてほしい」と述べた。
また、加藤勝信厚労相は「団塊ジュニア世代が高齢期を迎える2040年頃を見据え、社会保障制度全体を、制度の持続可能性の問題も踏まえて議論したい」との考えを示した。