重複投薬解消に向けた評価について、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、既に薬局では「薬剤服用歴管理指導料」などで評価されていることに触れ、「新たな評価を考える前に既存点数で期待される役割を果たしてもらいたい」と要望。
他の支払側委員からは、2021年に稼働する見込みのオンライン服薬情報管理や、21年3月からマイナンバーカードの健康保険証が使えるようになることを踏まえ、「システマティックに服薬状況を把握すべき」との意見が出た。
この日の総会では、入院時のポリファーマシー解消向けた取り組みの評価も議論した。現行の「薬剤総合評価調整加算」では、入院前に6種類以上の内服薬処方患者を対象とし、退院時に内服薬を2種類以上減らすことが要件になっているが、2種類減らすというアウトカムだけでなく、総合評価して調整するプロセスも評価する提案だ。
退院時に病院薬剤部が地域薬局に患者情報を提供しても評価する仕組みがないことから、退院時に処方薬の変更や中止理由を地域で共有するため、医療機関から薬局への情報提供を評価する論点を示した。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、医療機関から薬局への情報提供について、「極めて重要で診療報酬でも評価すべき」と主張。同様に薬剤師代表で診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)も、「患者の退院時に病院薬剤部が行っている薬局への情報提供については一定の評価をしてもらいたい」と求めた。
これに対し、幸野委員は「退院時薬剤情報管理指導料の算定要件として、薬局への情報提供を規定すれば新たな評価を新設する必要はない」と否定的な考えを示した。その上で、お薬手帳を活用した退院時の情報共有を提案した。
これに対して、厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は、「入院医療機関から提供される膨大な患者情報をお薬手帳に記載することになるため、現実的かどうか考えなければならない」と応じた。
さらに、他の支払側委員からは「ポリファーマシー対策に取り組んだ成果に関するより詳細なデータを示すべき」などの声が上がり、診療報酬上の評価新設に厳しい意見が相次いだ。