調査は、薬局・薬店が店舗やインターネットで要指導医薬品や一般用医薬品が適正に販売されているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施しているもの。今回は、5000の店舗(薬局1754件、店舗販売業3246件)、500のインターネット販売サイトを対象として実施した。
店舗販売の調査結果によると、乱用の恐れのある医薬品を複数購入しようとした時の対応では、「質問等されずに購入できた」が48.0%と前年調査の38.8%から9.2ポイント上昇し、不適切な対応を行っている店舗が増加していることが分かった。
また、「一つしか購入できなかった」や「複数必要な理由を伝えたところ購入できた」など、販売方法が適切だった割合を見ると、それぞれ38.5%(前年44.8%)、13.5%(16.5%)にとどまった。
形態別の遵守状況を見たところ、薬局が53.4%(69.7%)、ドラッグストアが51.9%(61.0%)と、いずれも前年より低下していた。
昨年8月の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、乱用の恐れがある医薬品の販売ルールの遵守率が低かったことがプロトンポンプ阻害薬(PPI)のスイッチ化を「否」とした要因の一つになったが、不適切な販売を行っている店舗が増えたことになる。
名札などで専門家の区別ができた店舗は88.4%(79.7%)で、8.7ポイント上昇。形態別では、薬局が89.4%(73.9%)、店舗販売業が87.9%(82.2%)だった。
要指導薬の販売では、購入者本人が使用するか確認を行った店舗は80.0%で、前回の82.9%から2.9ポイント低下した。要指導薬の販売で情報提供があった店舗のうち、文書を用いて情報提供があった割合も75.0%と前回の78.0%から減少した。一方で、要指導薬販売時に年齢や症状、他の医薬品の使用状況など使用者の状況についての確認を行った店舗は91.4%と4.5ポイント上昇した。
第1類医薬品の販売では、文書を用いて情報提供を行った薬局は70.6%と前年の71.5%から0.9ポイント低下しており、口頭のみでの説明だった店舗の割合は26.2%となった。
インターネット販売では、第1類薬販売時の使用者の状況(年齢、症状、他の医薬品の使用状況)について確認していた割合が96.0%と前年の93.0%から上昇。第1類薬の販売時に情報提供を行っていた割合も77.4%と前年の75.6%から上昇し、前年に比べて全体的に改善されていた。
第一類薬の販売で「相談に対応した者の資格」が薬剤師であった割合は61.1%と前年の51.3%から改善したが、店舗販売に比べると遵守率が低く、ネット販売における販売ルールの徹底が求められる結果となった。
また、ネットで乱用の恐れのある医薬品を複数購入しようとした時の対応では、「質問等されずに購入できた」が53.2%と不適切な販売が減少していることが分かった。