■次期薬価改革へ議論開始
中央社会保険医療協議会薬価専門部会は11日、次期薬価制度改革に向け、再生医療等製品の価格算定や効能追加等による革新性・有用性の評価など、具体的な議論をスタートさせた。委員からは、生産、流通面で一般の医薬品と異なることなどから、再生医療等製品に適した独自の算定方法を求める意見が相次いだ。また、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする既収載品を再評価する場合は、新薬創出等加算分を除外して算定することを求める声が出た。
この日の部会では、次期薬価制度改革に向けた具体的な検討事項として、再生医療等製品の価格算定、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定、効能追加等による革新性と有用性の評価などについて議論した。
特に議論が集中したのが再生医療等製品の価格算定で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「再生医療等製品に特化した新たな算定ルールを検討するには知見の集積が不足している」と指摘しつつも、「高額な製品が出てきた場合、現在のルールを適用するのもどうかと思う。補正加算前の価格が著しく高価なものの加算額について、何らかの検討が必要」との考えを示した。
支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「生産や流通等の面から一般的な医薬品と異なるため、従来の薬価算定方式では合理性、妥当性を担保できないのは明白」との見方を示した上で、「価格算定については独自体系が必要だ。対応方針や期限を明確にし、作業部会を作って具体的に議論すべきでないか」と提案した。
製薬業界代表の平野秀之専門委員(第一三共執行役員渉外部長)も、「1回の投与で治療が完結するなどの特殊性を考慮すると、既存の算定方式では適切な価格設定が難しい場合がある。独自の算定体系を構築すべきだ」と同調した。
一方、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定に関して、松本氏は「比較薬が新薬創出等加算の要件から外れた場合には累積加算額を差し引いて改定する。これとバランスを取るため、類似薬効比較方式Iで算定された品目についても比較薬の累積加算額相当を差し引くのが自然」と述べた。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「前回の薬価制度改革で新薬創出等加算に企業区分が入り、企業区分によって加算額が異なるという制度上の矛盾が出ている。企業要件も入っている新薬創出等加算分は除外して算定すべき」との考えを示した。
また幸野氏は、効能追加等による革新性・有用性の評価に関する議論で、「既収載品を再評価するなら、収載時に比較薬が新薬創出等加算を受けたものである場合、それを除いて収載することが最低限の条件」とした上で、「効能追加等による革新性・有用性の評価と、新薬創出等加算を外すかどうかをセットで議論すべき」と述べた。