統合失調症患者と精神疾患のない健常者でグルテン感受性の有無を比較
兵庫医科大学は9月11日、統合失調症患者の一部でグルテン感受性が治療の妨げに関連している可能性があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大精神科神経科学講座の本山美久仁大学院生、山田恒講師らの研究グループによるもの。研究成果は「Comprehensive Psychiatry」にオンライン掲載された。
画像はリリースより
今回行われた研究の対象者は、統合失調症と診断された20~70歳の患者60人と、精神疾患のない健常者50人。患者同意の下でグルテン感受性に関連する抗体を測定し、感受性の有無を調べ比較した。また、研究対象者の中からグルテン感受性があり、抗精神病薬での治療を継続している患者に、同じ量の治療薬を2週間投与した。それでも症状の改善がみられない患者にグルテンフリー食を与え、4週間後、8週間後に再評価を行った。
グルテン感受性を持つ患者で治療抵抗性を有する割合が高い
その結果、統合失調症患者グループと健常者グループでグルテン感受性の保有率に差は認められなかったが、グルテン感受性を持たない統合失調症患者に比べて、グルテン感受性を持つ統合失調症患者は、抗精神病薬の投与量が多く、治療抵抗性を有する割合が高いことが明らかになった。また、グルテンフリー食による食事療法を、グルテン感受性を持つ治療抵抗性統合失調症患者1人に行ったところ、精神症状、身体症状の改善が認められたという。
兵庫医科大学病院では、2019年10月より精神科神経科で「グルテン専門外来」の設置を予定している。また、研究グループはなかなか治らないうつ症状とグルテン感受性の関連についての研究も開始しており、「将来的にグルテン感受性を持つ患者へのグルテンフリー食による食事療法の確立が期待される」と、述べている。
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