健康・医療・介護のデータを連結したデータプラットフォームの構築に向けた具体策を議論する厚生労働省の「データヘルス改革推進本部」は9日、2021年度からの5年間で実現すべき目標4項目を記した新計画を策定した。ヒトの全ゲノム情報を活用して癌、難病の原因究明や新たな診断・治療法の開発を進めること、オンライン資格確認の基盤を用いて全国の医療機関で薬剤情報等を確認できる仕組みを稼働させることなどを盛り込んだ。
推進本部では、17年から健康・医療・介護データの連結や利活用の推進に向けた取り組みを検討しており、20年度をメドに実現すべきサービス8項目の工程表を昨年に策定し、工程表に沿った取り組みを実施してきた。
一方で、情報通信技術や全ゲノム検査技術の急速な進展などを踏まえ、これら最先端技術の導入とこれまでの取り組みの加速化を盛り込んだ新たな計画を策定した。具体的には、▽ゲノム・医療AI(人工知能)活用▽医療・介護現場での情報の利活用▽データベースの効果的な利活用▽自身のデータを日常生活改善や健康増進等につなげるPHR――の4項目の内容を21~25年度の5年間で実現させることを目指す。
「ゲノム・医療AI活用」では、今年中をメドに実行計画を策定した上で、全ゲノム情報を活用し、癌や難病の原因究明、新たな診断・治療法の開発、個人に最適化された患者本位の医療の提供を目指す。また、AIを用いた保健医療サービスの高度化と現場の負担軽減にも注力する。
「医療・介護現場での情報の利活用」については、現場で患者の過去の医療情報を適切に確認し、質の高いサービスを提供することを目指し、薬剤情報や特定検診などの情報についてオンライン資格確認の基盤を活用して全国の医療機関で確認できる仕組みを稼働させる。さらに、電子処方箋の本格運用に向けた検討も進めるとした。
推進本部長を務める根本匠厚生労働相は、冒頭のあいさつで「新たな計画を通じて、国民や医療・介護現場にメリットがある明るい未来を実現できるよう、着実に取り組んでほしい」と要請した。