ABCA1遺伝子の欠損/メチル化で循環器疾患発症リスク高
藤田医科大学は8月28日、食事によるビタミンCの摂取がABCA1遺伝子のメチル化率低値を介して、血清HDLコレステロール高値と関連していることを報告したと発表した。この研究は、同大学医療科学部・臨床検査学科の鈴木康司教授と藤井亮輔助教らの研究グループによるもの。研究成果は「The American Journal of Clinical Nutrition」に掲載されている。
画像はリリースより
ATP-binding cassette protein A1(ABCA1)という分子は、HDLコレステロールを生成するのに重要な役割を果たしていることが従来の研究で知られている。さらに、ABCA1遺伝子が欠損している人では、血清HDLコレステロール値が顕著に低く(10mg/dL未満)、欠損がない人に比べて循環器疾患のリスクが極めて高いことも報告されている。近年は、ABCA1遺伝子の「DNAのメチル化」が起きると血清HDLコレステロール値が低下し、循環器疾患を発症していることが明らかになっていた。一方で、どのような生活習慣でABCA1遺伝子のDNAメチル化が変化するかは、あまり明らかになっていなかった。
ABCA1メチル化低値/HDL-C高値により予防効果の可能性
今回研究グループは、ABCA1のDNAメチル化を変化させる生活習慣として、野菜の摂取、とりわけ食事中のビタミン摂取に着目。これらの摂取量とABCA1のDNAメチル化率との関連、さらにそれを介したHDLコレステロール値との関連を、約230人の日本人集団を対象として検討した。
その結果、ビタミンCの摂取量が多い人は、ABCA1のDNAメチル化低値を介して、血清HDLコレステロール値が高いことが明らかとなった。今回の研究成果は、ビタミンCの循環器疾患に対する予防的な効果をABCA1のDNAメチル化が媒介している可能性を示唆するものであり、「一般的な日本人集団においての循環器疾患予防について新たな分子メカニズムとなり得る」と、研究グループは述べている。
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・藤田医科大学 プレスリリース