全世界全適応症における独占的なライセンス契約
国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は8月30日、NCNPが開発中のOCH-NCNP1(OCH)について、全世界での全適応症における独占的な開発、製造、販売に関するライセンス契約をEAファーマ株式会社と締結したと発表した。
OCHは、NCNPの山村隆特任研究部長らのグループが、海綿に寄生する細菌が産生する糖脂質α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)の構造を修飾して創製した化合物。近年では、OCHやα-GalCerの類縁体がヒトの腸内細菌から産生され、ナチュラルキラーT(NKT)細胞からTh1サイトカインとTh2サイトカインを誘導して免疫の恒常性維持に寄与していることが明らかにされている。特にOCHは、Th1サイトカインの作用に抑制的に働くTh2サイトカインを、α-GalCerに比べ優位に誘導し、Th1サイトカインの過剰な作用が発症原因となる慢性疾患の炎症を是正することが期待されている。
クローン病に加え多発性硬化症を対象に医師主導治験
現在、NCNPでは、OCHに関し、多発性硬化症の患者を対象とする医師主導治験(前期第2相試験)が計画されている。また、慶應義塾大学病院では、NCNPとの共同研究により、OCHに関し、2016年よりクローン病の患者を対象とする医師主導治験(第1/2相試験)が進められている。
今回の契約は、国内の大学等研究機関の研究シーズの開発を支援する公益財団法人神戸医療産業都市推進機構医療イノベーション推進センター(TRI)から、EAファーマがOCHの紹介を受けたことを機会に締結に至ったもの。今回の契約に基づき、EAファーマは、NCNPに対して、契約一時金、マイルストン、ロイヤルティを支払う。