先駆け審査指定制度については、前年度予算で対応した医薬品・医療機器に続き、再生医療等製品の体制整備を行う。具体的には、先駆け指定品目の審査を担う専門チーム(1チーム8人)をPMDAに設置するため、新規で4800万円を要求する。
小児癌など医療上のニーズが充足されていない領域の医薬品を「特定用途医薬品」に指定し、優先審査の対象とする制度を薬機法で規定することを想定したPMDAの体制整備も行う。新規で4400万円を充て、学会や患者団体などから上がった「特定用途医薬品」に対する要望の妥当性の評価や、必要な試験の検討などを行う人員を3人配置する。
法改正に伴う添付文書の電子化への対応も進める。PMDAの「医薬品医療機器情報提供システム」を改修し、製品に表示するQRコードなどから最新の添付文書へアクセスできるようにするほか、新たに再生医療等製品の添付文書データベースを構築するための費用として新規で1億5800万円を計上した。
法改正に伴う医薬品・医療機器の申請・審査システムの改修にも10億4400万円を充てる。政府のデジタルガバメント推進方針を踏まえ、薬事に関する申請などをオンライン化するための改修も行い、行政手続きの簡素化や迅速化、事業者の負担軽減も図る。
医薬品原料に対する品質確保の強化に1億2800万円を計上し、中国やインドなど、アジア圏の原薬製造所で不純物の混入や汚染が発生する事案が相次いでいることを踏まえ、後発品やバイオシミラーの原薬製造所へ立ち入り調査を実施するため、PMDAに必要な人員を6人配置する。
一方、薬剤師・薬局関連では、薬機法改正で新たに位置づけられる「専門医療機関連携薬局」「地域連携薬局」の整備促進事業に新規で1億6800万円を計上。機能別認定薬局に関して都道府県における薬局と医療機関などと連携を構築するための取り組みや、専門薬剤師を養成する学会などを支援する。19年度予算に2億1200万円を計上していた「薬局機能強化・連携体制構築事業」は廃止する。
薬剤師の需給動向の把握にも、新規で5100万円を要求した。これまで需給動向の調査・把握は、厚生労働科学研究などが行っていたが、地域によって高齢化の状況や医療事情が異なる中、地域ごとの需給状況の現状をより詳細に把握して将来の需給動向を推計することにした。
地震や豪雨などの大規模災害時に円滑・迅速に医薬品を提供するための「災害時の薬剤師の対応体制の整備」にも新規で1100万円を計上した。