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ヒトが幸福を感じる脳活動を解明-京大ら

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2019年08月28日 PM12:30

主観的幸福と対応する脳内ネットワークを明らかに

京都大学は8月26日、主観的幸福と対応する脳活動および脳内ネットワークを明らかにし、大脳右楔前部(けつぜんぶ)の安静時活動が低いほど主観的幸福得点が高いことを示したと発表した。この研究は、同大こころの未来研究センターの佐藤弥特定准教授、ATR脳活動イメージングセンタの河内山隆紀研究員らのグループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

幸福は、ヒトにとって究極の目的となる主観的経験であるが、心理学研究では、その主観的幸福が、質問紙で安定して計測できることを示してきた。

主観的幸福の脳内メカニズムを調べた最近の構造的脳画像研究では、右楔前部(頭頂葉の内側面にある領域)の灰白質体積が主観的幸福と関係することを報告している。しかし、この領域のどのような活動(亢進か低下か)および機能結合が幸福と関係するかは不明だった。

右楔前部と右扁桃体の機能的結合が強いほど主観的幸福得点が高い

研究グループはこの問題を明らかにするため、成人51人(うち女性26人:平均年齢22.5歳)を対象として幸福度を質問紙で測定し、また安静時(5分間、特定のことを考えずにじっとしている)の脳活動をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で計測した。

その結果、右楔前部の安静時活動が低いほど、主観的幸福得点が高いことが示された。つまり、より強く幸福を感じる人は、この領域の活動が低いことを意味する。先行研究から、楔前部の活動は、否定的な自己意識や、心の迷いや、執着する心に関係することが示されており、これらの心のはたらきが弱いことが幸福感の基盤となる可能性が考えられるという。また、右楔前部と右扁桃体の機能的結合が強いほど、主観的幸福得点が高いことも示された。扁桃体は感情処理に関わることから、感情を適切に統合することで幸福感が生まれる可能性が示唆された。

今回の結果は、主観的幸福と対応する脳活動および脳内ネットワークを、世界で初めて明らかにする知見となる。研究グループは、「今後、瞑想が楔前部の活動を低下させるといった知見と併せることで、科学的データに裏打ちされた幸福増進プログラムを作るといった展開が期待される」と、述べている。

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